2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790181
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石黒 尚子 鳥取大学, 医学部, 助手 (50346350)
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Keywords | Arpp / 横紋筋肉腫 / 診断マーカー / 免疫組織化学染色 |
Research Abstract |
本研究は、軟部腫瘍における横紋筋特異的アンキリン蛋白質Arppの発現を明らかにすることを目的とする。様々な組織型を含む軟部腫瘍のパラフィン包埋組織115例について、抗Arppポリクローナル抗体を用い、SAB法による免疫組織化学染色を行った。その結果、Arpp蛋白質は横紋筋肉腫において、27例中24例(89%)と高い陽性率を示した。組織亜型別では、胎児型横紋筋肉腫13例中11例、胞巣型横紋筋肉腫9例中9例、多形型横紋筋肉腫4例中4例、未分化型横紋筋肉腫1例中0例と、全ての横紋筋肉腫組織亜型で陽性であった。また、Arppは腫瘍細胞の細胞質でDiffuseに発現し、陽性細胞率は2%から、80%以上の腫瘍細胞で陽性となった症例も存在した。 一方、横紋筋肉腫以外の軟部腫瘍においては88例中8例(9%)と陽性率が低かった。脂肪肉腫10例、平滑筋肉腫14例、悪性末梢神経鞘腫11例、線維肉腫2例、血管肉腫3例においてはArpp発現は認められなかったが、悪性線維性組織球腫27例中2例(7%)、滑膜肉腫11例中1例(9%)、ユーイング肉腫5例中1例(20%)および類上皮肉腫5例中4例(80%)では陽性反応が認められた。悪性線維性組織球腫、滑膜肉腫およびユーイング肉腫におけるArpp陽性反応は、横紋筋肉腫における反応より弱く、陽性細胞率も10%以下と低かった。しかしながら、類上皮肉腫においては、腫瘍細胞の30%程度で強いArpp発現が認められ、今後の検討を要した。 以上より、Arppは横紋筋肉腫で特異的な発現を示す事が示唆された。今後、本結果についてさらに解析を進めるため、軟部腫瘍における他の筋系マーカーとの発現比較および、ウエスタンブロット法による定量的解析を計画している。
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