2003 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫細胞の細胞運動能におけるヒアルロン酸とCD44の関与機序の解明
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15790184
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 真弓 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00294554)
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Keywords | 悪性中皮腫細胞 / 細胞運動能 / ヒアルロン酸 / CD44 |
Research Abstract |
上皮型のヒト悪性中皮腫に由来する悪性中皮腫細胞HMMMEを用い、ヒアルロン酸と断片化ヒアルロン酸の中皮腫細胞の細胞運動能の関与についてwound assayにより検討した。ヒアルロン酸投与下で約25%の運動能の増加を認め、これはCD44のブロッキング抗体で抑制された。一方、断片化ヒアルロン酸投与では、運動能の増加は認められなかった。また、wound assayのシステムを用いて、運動している細胞においてCD44の発現がどのように変化するかを免疫組織学的に検討したところ、運動最先端の細胞膜に有意にCD44の高発現を認めた。レーザー焦点顕微鏡を用いた細胞内局在の詳細な観察ではCD44は、運動最先端の細胞で高発現であり、phalloidinを用いたf-actinとCD44の二重染色では、運動先端部のphyllopodiaの細胞膜でCD44とf-actinの共存を認めた。以上の結果は、悪性中皮腫細胞において完全型ヒアルロン酸とCD44の相互作用が細胞運動能に関与することを示唆する結果と考えた。さらにCD44の内どのvariant formが特に細胞運動と関与するかを知る目的で、CD44 variant 3 (v3),CD44v4/5,CD44v6に対する各抗体を用いて、免疫細胞学的検討した結果、運動先端部分の細胞ではvariant3(v3)の発現が細胞全体に有意に誘導されることを見いだした。そこで、western blot法により、運動している細胞としていない細胞とでのCD44の発現様式の違いがあるか否かを検討した。運動していないconfluent cellでは、standard formとvariant formの発現を認めたが、wound assay後の細胞では、variant formが有意に増加し、逆にstandard formは減少した。
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