2003 Fiscal Year Annual Research Report
補助シグナルの調節による自己免疫反応の誘導および抑制
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15790205
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小谷 素子 東京理科大学, 生命科学研究所, 助手 (30318232)
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Keywords | IL-1 / 関節炎 / CD28 / 補助シグナル / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
自己免疫性の慢性関節炎を自然発症するIL-1レセプターアンタゴニスト(Ra)ノックアウト(KO)マウスと最も重要なT細胞補助シグナルの一つであるCD28のKOマウスとをかけあわせ、ダブルKO(dKO)マウスを作製した。IL-1raKO、dKOの関節炎の発症率には大きな差がないが、重症度はdKOの方が有意に抑制されることが明らかになった。このときの血中抗体価を測定したところ、IgM抗体価についてはraKOとdKOで差が見られなかったが、IgG抗体価はdKOでは野生型マウスと同程度まで低く抑えられていた。また、自己抗体であるanti-dsDNA抗体価もdKOでは正常レベルまで減少していた。このことから、B細胞のクラススイッチおよびIgG型の自己抗体の産生にはCD28シグナルが必須であることが明らかになった。 他の補助シグナルの関与を調べる目的で、CD3刺激後のT細胞表面上のOX40,CD40Lの発現を調べたところ、OX40の発現はdKOで非常に低いレベルに抑えられており、その発現はCD28シグナルに依存していることが明らかになったが、CD40Lの発現はどのマウスでもほとんど変化がなく、CD28非依存的に発現しうることが明かとなり、関節炎発症への関与が考えられた。 この関節炎の発症におけるT細胞の役割についてより詳細に検討する目的で、IL-1raKO、dKOそれぞれのT細胞を、T細胞欠損マウスであるnudeマウスに移入した結果、IL-1raKOのT細胞を移入したnudeマウス(raKO→nude)は関節炎を発症したが、dKO→nudeでは全く関節炎を発症しなかった。以上のことから、CD28補助シグナルはIL-1raKOマウスが発症する関節炎の発症に必須ではないが、自己反応性T細胞の活性化には重要な役割を果たしていることが示唆された。
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[Publications] Habiro, K., Kotani, M., Omoto, K., et al.: "Mechanism of allorecognition and skin graft rejection in CD28- and CD40L-double deficient mice."Transplantation. 76. 854-859 (2003)
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[Publications] 小谷素子: "マクロファージ遊走阻止因子(MIF)の接触性過敏症反応誘導における役割"アレルギー科. 15(6). 464-468 (2003)