2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790211
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
山下 聡 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 研究員 (80321876)
|
Keywords | Stearoyl-CoA desaturase / 乳がん / ラット / トランスジェニック / 胃がん / がん感受性 |
Research Abstract |
Stearoyl-CoA desaturase (Scd)はは飽和脂肪酸に不飽和結合を作る遺伝子であり、膜の流動性や脂質代謝に深く関与している。申請者らは、Scd2 mRNAの発現上昇が、ラット胃がんおよび乳がんで、共通して観察されることを見出した。本研究は、トランスジェニックラットを作製し、Scd2の高発現が発がんに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 最近、マウスでScd3およびScd4が発見された。そこで、本年度は、Scd同族体のうち、Scd2をターゲットにする妥当性を検討した。まず、2002年公開されたラットゲノムドラフト配列を利用して、ラットScd同族体のin silico cloningを行った。その結果、現時点で解読されている塩基配列の中に、マウスScd3およびScd4と90%以上の相同性を示す配列は無く、Scd同族体で共有する配列も他には無いことがわかった。次に、Scd1,Scd2遺伝子について、ラット胃幽門および乳腺における発現を検討した。Scd1は、胃幽門粘膜、乳腺ではほとんど発現していなかった。最近の報告によれば、Scd1は肝臓で発現し、発現量の高いマウス、ラット系統は肝発がん感受性が高い。Scd2は、胃幽門粘膜、乳腺で発現しており、がんではさらに発現が上昇することが確認された。また、胃がん感受性が異なるラット系統間では、発現量の差異は認められなかった。以上から、Scd2トランスジェニックラットを作製し、その高発現が発がんに及ぼす影響を検討することは、意義が深いと考えられた。 現在、Scd2トランスジェニックラットの作製のため、chicken actinのプロモーター下流にラットScd2 cDNAを連結したコンストラクトを作製中である。なお、本研究は遺伝子組換え生物等の使用などの規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づき、研究を実施した。
|