2003 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスNS5A蛋白によるインターフェロン阻害作用の分子機序の研究
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15790240
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長野 基子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90304089)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 非構造蛋白NS5A / インターフェロン / 抗ウイルス活性 / 2-5A合成酵素 / HCV RNAレプリコン / アミノ酸変異 |
Research Abstract |
我々は、C型肝炎ウイルス(HCV)の非構造蛋白NS5Aについて、(i)NS5Aは2-5A合成酵素(25AS)と結合し、インターフェロン(IFN)の抗ウイルス活性を抑制すること、(ii)NS5Aの第37位アミノ酸変異が2-5ASとの相互作用に影響を及ぼすことなどをNS5A発現細胞を用いて明らかにしてきた。本研究では、HCV RNAレプリコン複製細胞(NS3〜NS5Bを発現)を用い、以下の結果を得た。 (1)GSTプルダウン法により、HCVレプリコン複製細胞に発現させたGST融合2-5ASはHCVレプリコン複製細胞内NS5Aと結合することが明らかとなった。 (2)HCVレプリコン複製細胞及び対照細胞をIFNで処理あるいは非処理の後、脳心筋炎ウイルスを接種し出現するプラーク数によりウイルス感染価を測定した。対照細胞における産生プラーク数は、IFN 5U/mlで処理した場合、IFN非処理時の約50%まで抑制されたが、HCVレプリコン複製細胞では、約75%までにしか抑制されなかった。IFN 25U/mlで処理した場合にも、HCVレプリコン複製細胞でIFN抗ウイルス活性は有意に抑制された(P<0.05)。 (3)血清中HCV RNA量が高値を示すNS5A第37位アミノ酸PheからLeuへの点変異を有するレプリコン複製細胞(F37Lレプリコン)及び、患者由来のHCV株では全く観察されていないAsnへの点変異を有する複製細胞(F37Nレプリコン)の作製を試みた。野生株及びF37Lレプリコンは、共に数百クローン得られたが、F37Nレプリコンは作製できなかった。 (4)F37Lレプリコンでも、野生株レプリコンと同様にIFN抗ウイルス活性が抑制されたが、両細胞間でIFN抗ウイルス活性抑制作用に有意な差は観察されなかった。 以上より、NS5A第37位アミノ酸はHCVの複製及びIFN抗ウイルス活性抑制に重要な役割を果たしている可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Taguchi, Takashi: "Hepatitis C virus NS5A protein interacts with 2',5'-oligoadenylale synthetase and inhibits antiviral activity of interferon in an ISDR-independent manner."J Gen Virol. 85(in press). (2004)
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[Publications] Ogata, Satoshi: "Identification of hepatitis C virus (HCV) subtype lb strains that are highly, or only weakly, associated with hepatocellular carcinoma on the basis of secondary structure of an amino-terminal portion or the HCV NS3 protein."J Clin Microbiol. 41(7). 2835-2841 (2003)
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[Publications] Ishido, Satoshi: "c-MIR, a human E3 ubiquitin ligase, is a functional homolog of herpesvirus proteins MIR1 and 2 and has similar activity."J Biol Chem. 278(17). 14657-14668 (2003)
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[Publications] Oka, Kiyomasa: "Hepatitis C virus core protein selectively inhibits synthesis and accumulation of p21/Waf1 and certain nuclear proteins."Microbiol Immunol. 47(6). 429-438 (2003)
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[Publications] Lusida, Maria Inge: "Genotype and subtype analyses of hepatitis B virus (HBV) and possible co-infection of HBV and hepatitis C virus (HCV) of hepatitis D virus (HDV) in blood donors, patients with chronic liver disease and patients on hemodialysis in Surabaya, Indonesia."Microbiol Immunol. 47(12). 969-975 (2003)