2003 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスコア蛋白質の細胞内局在と宿主細胞の応答メカニズム
Project/Area Number |
15790244
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 亮介 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (50342902)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / コア蛋白質 / プロテオーム解析 / 細胞内局在 |
Research Abstract |
肝炎や肝硬変、肝癌の原因ウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV)のコア蛋白質はER、ミトコンドリア、脂肪滴、核など複数の細胞内小器官に存在し、遺伝子の転写調節、免疫系、脂質代謝、アポトーシスに対する感受性など、様々な影響を有する多機能な蛋白質として知られているが、それらの分子レベルでのメカニズムは未だ明らかでない。コア蛋白質が細胞内のどの小器官において、どのような影響を及ぼすのかを分子レベルで明らかにする為に、コア蛋白質の細胞内局在を規定するシグナルについて解析を行なった。コア蛋白質の様々な領域とGFPとの融合蛋白質を発現させ、それぞれの小器官の分画および細胞染色により、コア蛋白質のアミノ酸112-152番目の領域がERへの局在に、塩基性アミノ酸に富む112-123番目の領域がミトコンドリアへの局在に重要である事を明らかにした。またN末端側の3カ所の塩基性クラスターがコア蛋白質とimportin αとの結合に重要であった事から、コア蛋白質の核移行はimportin α依存的な経路によるものと考えられた。 次に核内におけるコア蛋白質の機能を明らかにするために、核に局在するコア蛋白質の変異体を発現させ、核を分画し、プロテオーム解析を行なった。その結果、陰性対照群と比較して等電点が変化する分子量が約12kDaおよび36kDaの2つのスポットを見いだした。このスポットを切り出し、プロテアーゼ消化、ペプチド抽出を行なってMALDI-TOF-MSにて分析を行い、蛋白質の同定を行なった。これらの蛋白質についてさらに詳細な解析を行なう為に、cDNAをクローニングし、発現プラスミドを作製した。平成16年度はコア蛋白質の発現によりこれらの蛋白質がどのように変化が起こるのかを予定である。等電点が変化する事から、リン酸化等の翻訳後修飾の違いが生じている可能性が考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sacco R., Tsutsumi I., Suzuki R., Otsuka M., Aizaki H., Sakamoto S., Matsuda M., Seki N., Matsuura Y., Miyamura T., Suzuki T.: "Antiapoptotic regulation by hepatitis C virus core protein through up-regulation of inhibitor of caspase-activated DNase."Virology. 317. 24-35 (2003)