2003 Fiscal Year Annual Research Report
リステリア感染における樹状細胞の役割とその分子機構
Project/Area Number |
15790253
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 重徳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50348801)
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Keywords | 樹状細胞 / 感染免疫 / PI3K / リステリア / Internalin B / c-Met / IL-12 |
Research Abstract |
リステリアはヒトにおいて胃腸炎のほか、妊婦における早産や流産さらには母子感染による新生児の髄膜炎を引き起こすグラム陽性菌である。リステリアの排除には、樹状細胞が産生するIL-12によって誘導されるTh1細胞からのIFNγが重要な役割を果たすと考えられる。リステリアの持つ因子であるinternalin B (inlB)と受容体c-Metの相互作用によるphosphoinositide 3-kinase (PI3K)の活性化が樹状細胞に及ぼす影響を調べ、リステリア感染における生体防御との関連を検討している。 まずFACS解析により樹状細胞株DC2.4の細胞表面上にc-Metの発現を確認した。そこでIn vitroにおいてDC2.4に野生株(wt)のリステリアを感染させたところ数分以内にPI3Kの基質であるAktのリン酸化が見られ、感染により速やかにPI3Kが活性化されることが示された。またinlB欠損株(ΔinlB)による感染では野生株に比べリン酸化の速度が遅れることが明らかになり、inlBとc-Metの相互作用が感染初期に関与することが示された。さらに、骨髄由来樹状細胞にwt及びΔinlBを一定時間感染させて洗った後細胞内に存在する菌数を数えたところ、ΔinlBではwtの約半数であった。樹状細胞内には殺菌活性を示す分子がほとんどないことから、ΔinlBでは野生株より樹状細胞へ感染しにくいことが考えられた。またin vivoにおいてwt及びΔinlBをマウス腹腔内に投与したところ半数致死菌量(LD50)は野生株に比べてΔinlBの方が高いことが示され、in vitroでの結果と合わせると樹状細胞への感染力が低いことにより病原性が下がったと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hashimoto SI, et al.: "Gene expression profile in human leukocytes."Blood. 101・9. 3509-3513 (2003)
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[Publications] Toyoda N, et al.: "Analysis of mRNA with microsomal fractionation using a SAGE-based DNA microarray system facilitates identification of the genes encoding secretory proteins."Genome Research. 13・7. 1728-1736 (2003)