2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790288
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 博一 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30316088)
|
Keywords | 聴力 / モルモット / スチレン / ループ利尿剤 / 複合曝露 |
Research Abstract |
聴器毒性のある臨床薬剤であるループ利尿剤(フロセミド)と産業現場における聴器毒性物質(スチレン)の聴覚への複合影響を調べるために、まずそれぞれ単独での聴覚への影響を実験的に検討した。被検動物としてモルモットを用い、聴覚の評価には、聴性脳幹反応による聴覚閾値を用いた。 スチレン単独の影響を調べるために、事前にモルモットに聴性脳幹反応による聴覚閾値の測定を行い、曝露チャンバー内でスチレンを曝露し、曝露直後、2週間後、4週間後に聴覚閾値の測定を行った。スチレンの曝露条件は、曝露濃度100、250、500、700、900ppmで1日8時間、連続7日間および曝露濃度100、250、500、700、900ppmで1日8時間、連続21日間であった。その結果、7日間曝露では、曝露後にすべての曝露濃度で聴覚閾値の変動は認められなかった。連続21日間曝露では900ppm曝露で曝露後に聴覚閾値の上昇傾向が認められた。2週間後、4週間後には聴覚閾値の回復傾向がみられた。 次に、ループ利尿時単独の影響を調べた。スチレンと同様に事前にモルモットに聴性脳幹反応による聴覚閾値の測定を行い、投与終了投与期間終了直後、2週間後、4週間後に聴覚閾値の測定を行った。ループ利尿剤の投与量は1日60mg/kg、80mg/kgで14日間連続腹腔内投与した。対照群には生理食塩水を腹腔内投与した。その結果、80mg/kg投与で聴覚閾値が上昇する傾向がみられた。2週間後、4週間後には聴覚閾値の回復がみられた。 以上の結果から、モルモットの聴性脳幹反応による聴覚閾値を指標としたとき、スチレンが聴覚に影響を与える最低限度の曝露量は1日8時間21日間曝露では、900ppmであり、フロセミドが聴覚に影響を与える最低限度の投与量は、14日間連続投与では1日80mg/kg付近にあることが分かつた。
|