2003 Fiscal Year Annual Research Report
網膜循環血行動態測定系を用いた高血圧発症メカニズムの解析及びその臨床応用
Project/Area Number |
15790295
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 理恵 東京大学, 保健管理センター, 助手 (90301126)
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Keywords | 血圧 / 微小循環 / 血行動態 / 予防 / 指標 / 公衆衛生看護 |
Research Abstract |
抵抗血管は血圧を決定する上で最も重要な血管床であり、高血圧発症の予防法を確立するためには、抵抗血管領域である網膜循環の血行動態の変化を解析することは有用である。このため本研究では、各年齢層における網膜循環血行動態諸指標と血圧値の関係について検討することを目的とし、21〜25歳の若年群並びに35〜50歳の中年群について網膜循環諸指標を測定し、網膜循環血行動態諸指標が高血圧発症、進展の予知因子となりうるかについて検討した。 網膜循環については、超音波カラードップラー法を用いて両眼の網膜中心動脈の収縮期(Vmax)ならびに拡張期血流速度(Vmin)を測定した。またコンプライアンスを表すと考えられるresistive index(RI)値を血流速度から算出した。 Vmax及びVminは、男性では若年群に比較して中年群では夫々15、30%程度有意に上昇しており(p<0.05、p<0.001)、さらにRI値は約10%低下していた(p<0.001)。さらに、網膜中心動脈径は中年群で有意に縮小していた。一方女性では、若年群・中年群で網膜循環血行動態に有意差は認められなかった。収縮期、拡張期血圧についても男性においてのみ、若年・中年間で有意な変化が認められた。 このように、既に血圧の上昇が始まっている中年期男性では、有意な網膜中心動脈の血流速度上昇、RI値の低下、血管径の縮小が認められ、血圧上昇と網膜循環血行動態の変化に関連性があることが示唆された。網膜血行動態の測定は、血圧上昇に伴う抵抗血管血行動態の初期変化を描出していると考えられ、本法の高血圧予防、治療効果判定への応用が期待される。
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[Publications] 田口(袴田)理恵, 今村明日香, 永原幸, 豊岡照彦, 新家眞, 上原譽志夫: "高血圧家族歴が微小循環血行動態た与える影響についての検討"Campus Health. 40・1. 164-165 (2003)