2003 Fiscal Year Annual Research Report
軽症痴呆と日常生活動作との関連についての疫学的研究
Project/Area Number |
15790299
|
Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
天野 宏紀 島根大学, 医学部, 助手 (80293033)
|
Keywords | 軽症痴呆 / 縦断研究 / 痴呆スクリーニング検査 / 改訂長谷川式簡易知能評価スケール / かなひろいテスト / 日常生活動作能力(ADL) / 罹患率 |
Research Abstract |
本研究は縦断研究により軽症痴呆と日常生活動作との関連及び地域での活動に参加する高齢者における痴呆の罹患率を明らかにすることを目的とする。 研究開始初年度の本年度は研究対象者のベースライン調査による断面研究を実施した。我が国で高齢化が最も進行している島根県の東部に位置するH町の60歳以上の高齢者クラブ員595名のうち、町と開催する元気でいきいき教室に参加した287名(男80名、女207名:参加者率48.2%)に、調査の意義を説明し、調査協力の同意が得られた278名を対象とした。研究対象者に対して日常生活に関する調査、血圧測定及び痴呆スクリーニングを行った。痴呆のスクリーニング検査には浜松医療センターの金子らによる二段階方式診断法及び改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を用いた。二段階方式診断法は前頭葉前野機能が年代相当に保持されているかを判定するかなひろいテストと大脳後半部機能を評価するMMSテストからなる。 かなひろいテストでは275名中55名(20.0%)が、HDS-Rでは277名中20名(7.2%)が脳機能活性度が低下している疑いのある者と評価された。加齢とともに低下している者の割合は増加していた。かなひろいテストとHDS-Rの評価との間には正の相関が認められた(相関係数0.334;p<0.01)。HDS-Rの評価を従属変数とし、日常生活に関する調査項目のうち、年齢、かなひろいテスト得点、最高血圧、自分で料理する、自分で掃除する、子供と会う頻度、気力がない、腰痛の既往の有無、骨折の既往の有無を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。HDS-Rによる痴呆疑いは男性において加齢が、女性において加齢、かなひろいテスト低得点、骨折の既往有が有意に影響していた。かなひろいテストによる痴呆疑いに関しての分析では、女性においてHDS-R低得点が有意に影響していた。
|