2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患に対する心理社会学的アプローチ・患者のQOL向上のための疫学的検討
Project/Area Number |
15790301
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小嶋 雅代 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30326136)
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Keywords | 慢性疾患 / QOL / 疫学 / 関節リウマチ / 抑うつ / BDI-II / SF-36 / 臨床評価 |
Research Abstract |
関節リウマチ患者の主観的QOL規定要因を探るため、2003年3-4月、専門外来を受診した関節リウマチ患者を対象に調査を行なった。主治医が外来診察時に調査の説明を口頭で行い、次いで診察室外にて調査者が調査への協力を依頼した。書面による同意の得られた場合のみ調査用紙を手渡し、郵送法により回収した。調査用紙には、現在の身体の痛み、疲労感、生活習慣に関する質問の他、QOL(SF-36)、抑うつ度(BDI-II)、不安(HADS)、アレキシサイミア(TAS-20)、ソーシャルサポート(SSQ)についての評価を行なった。同日の主治医による総合評価、臨床所見、各検査指標についても評価した。期間中の受診者532名中321名が協力に同意し、303名から調査票の返却があった。男性は19.5%と少数であったので、女性に限りデータのそろった244例について解析したところ、解析対象者の平均年齢(標準偏差)は55.7(12.3)歳、平均罹病期間13.0(10.8)年であり、BDI-IIを完答した233名中20.6%が中等度のうつ病の可能性のある20点以上であった。抑うつ度は、健康感、活力、心の健康、不安と中等度の相関を示し、その他のQOL指標、主観的痛み・疲労度、臨床評価、圧痛関節数と軽度の相関を示した。主治医による臨床評価(CGI)は、CRP、MMP-3、腫脹・圧痛関節数、身体的QOL指標と中-軽度の相関を示した。罹病期間は抑うつ度、CGIのいずれとも関連を示さなかった。主治医の評価に比べ、より強く痛みを感じる患者群は、炎症関連マーカーや圧痛関節数に差は見られなかったが、腫脹関節数が多く、生活上/身体的/心理的QOLの制限および疲労感が高く、抑うつ度、不安度には差がなかった。主治医の評価に比べ、より痛みが軽度な患者群の特徴は、主観的疲労感が軽いほか特に有意な特徴は見られなかった。これらの結果は第14回日本疫学会学術総会(2004年1月)にて発表した。現在は2003年11月に実施した再調査の結果を分析中であり、今後半年毎に臨床所見の変化を追跡し検証していく予定である。
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