2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患に対する心理社会学的アプローチ・患者のQOL向上のための疫学的検討
Project/Area Number |
15790301
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小嶋 雅代 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (30326136)
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Keywords | 慢性疾患 / QOL / 疫学 / 関節リウマチ / 抑うつ / 血液透析 / 心拍変動 / ソーシャルサポート |
Research Abstract |
関節リウマチと慢性腎不全という異なる2つの慢性疾患を対象として、患者のQOLに影響する身体的要因と心理社会的要因の影響を検証することを目的として調査研究を行った。 研究協力施設において、週3回血液透析を受けており、自立通院可能な20-79歳の慢性腎不全患者157名を対象に、自記式質問紙による心理社会的要因に関する調査を行い、定期検査データおよび透析記録から、透析効率、蛋白異化率などの臨床指標を得た。また、24時間ホルター心電図データから心拍変動解析も行った。6ヵ月後に同様の調査を行い、それぞれの変化についても調べた。用いた質問紙は以下の通り:QOL(SF-36)、抑うつ度(BDI-II)、不安(HADS)、アレキシサイミア(TAS-20)、ソーシャルサポート(SSQ)。ソーシャルサポートとアレキシサイミアは独立して患者の抑うつ度と関連し、特にソーシャルサポートの大きさが6ヵ月後の抑うつ症状の増悪と関連することが分かった(J Psychosom Res. in press)。また主な心拍変動指標は抑うつ度と関連するが、その関連は直線的なものではなく、特にフラクタル解析により得られるα_2は抑うつ度とJカーブ状の関係が示された(Psychosom Med, revise中)。 リウマチ専門外来受診患者303名の調査では、身体的・心理的QOLを従属変数として、現在の身体の痛み、疲労感、圧痛・腫脹関節数、関節手術回数、罹病年数、CRP、抑うつ度、不安、アレキシサイミア、ソーシャルサポートを独立変数としてステップワイズ法による回帰分析を行ったところ、CRPと抑うつ度が共通して有意な変数として残った(論文投稿準備中)。CRPと抑うつ度は、虚血性心疾患の予後予測因子として注目を集めているが、関節リウマチの予後に対する影響について今後検討すべきと考えられる。
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