2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790309
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
榎本 美佳 久留米大学, 医学部, 助手 (10360281)
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Keywords | DHEAS / 脳・心血管病 / 抗糖尿病作用 / 抗肥満作用 / 抗動脈硬化作用 |
Research Abstract |
私どもは、世界7カ国共同研究の一環として1958年より40年以上にわたり福岡県田主丸町において経年的に一般住民検診を行ってきた結果、わが国では欧米諸国に比べて虚血性心疾患が少なく、脳卒中が極めて多いことが示された。このうち1978年から1979年に行われた検診の際に血清DHEAS(Dehydroepiandrosterone Sulfate)を20から69歳までの合計940人(男性396人、女性544人)に測定しており、横断研究の結果、年齢・皮脂厚・握力が負の相関、尿酸・HDLコレステロールなどが正の相関を認めた。DHEASは生体の恒常性維持に欠かせない役割を担っていることが明らかになってきており、抗糖尿病作用・抗肥満作用・抗動脈硬化作用など多彩な作用が報告されている。この横断研究の結果から抗動脈硬化作用や加齢のパラメーターとしての予測因子であることが伺えた。 さちに現在、約25年前に測定した940名の予後調査を行っており、約半数の脳・心血管病の発症調査の結果を終了した。今後は予後調査の悉皆性や精度を高めるため、家庭訪問および病院・医院でのカルテの閲覧を行い、DHEAS値と脳・心血管病発症との関連を縦断的に解析し、検討を行う予定である。 また、農村地区である田主丸町のほかに漁村地区である宇久島(長崎県五島列島)においても平成15年に住民検診を行い、一般採血の他にDHEASの採血も施行した。農村と漁村での生活習慣の相違によるDHEASの平均値や分布差などの基本変量を分析している。この生活環境や食生活の異なる2つの地区を比較することにより、より詳しいDHEASのevidenceが得られるものと考えている。
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