2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790309
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
榎本 美佳 久留米大学, 医学部, 助手 (10360281)
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Keywords | DHEAS / 抗動脈硬化作用 / 一般住民検診 / 高血圧 |
Research Abstract |
近年、抗動脈硬化作用を有し、特に欧米では若返りの薬として補充療法も行われているDehydr-epiandrosterone(DHEA)が注目されている。DHEAは副腎皮質由来のホルモンであり、血中には硫酸塩(sulfate)としてDHEASの形で高濃度に存在しており、生体の恒常性に欠かせない役割を担っていると言われている。また、高血圧との関連も報告されている(Schunkert et al. Am J Hypertens,1999)が、これまで一般住民を対象とした疫学的研究は稀であり、本邦でも一部の小人数を対象としたわずかな報告に留まっている。そこで我々は、多人数の一般住民を対象としてDHEASと血圧との関連について検討した。 1978年から1979年に久留米市田主丸町にて行われた一般住民検診の際に血清DHEASを20から69歳までの合計940人(男性396人、女性544人)に測定しており、このDHEASと他の変数の関連を男女別に解析した。 研究の結果、男性の平均値は163.5±83.0μg/mL、女性の平均値は100.4±54.5μg/mLであり、男性が女性より有意(p<0.001)に高値を示した。年齢はDHEASの最も強い関連因子であり、男性では20歳代の平均値が165.9μg/mLであるのに対し、70歳代の平均値が48.1μg/mL、女性では20歳代の平均値が152.5μg/mLであるのに対し、70歳代の平均値が55.4μg/mLと年齢による平均値の差が大きく、男女ともに年代が若いほどDHEASは有意に高値を示した(p<0.001 for trend)。また、DHEASは単相関において男性では収縮期(r=0.006,NS)および拡張期(r=0.005,NS)血圧ともに有意な相関を認めず、女性では収縮期(r=-0.262,p<0.0001)および拡張期(r=-0.153,p<0.001)血圧ともに有意な負の相関を認めた。しかし、DHEASの最も強い関連因子である年齢で補正後の偏相関では、女性の収縮期および拡張期血圧ともに正相関(男性:r=0.110;p=0.010,女性:r=0.107;p=0.012)することが明らかになった。 これまでの欧米の報告と同様にDHEASは血圧を下げるという結果は得られなかった。また、動脈硬化の危険因子との関連を検討する際には、男女差とともに最大の規定因子である年齢による影響を常に考慮して検討することが必要であると考えられた。今後も予後調査を含めた研究解析を継続して行い、DHEASと脳・心血管病との関係を解明する必要がある。
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Research Products
(1 results)