2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール症における酸化ストレスの新たな評価法に関する研究
Project/Area Number |
15790316
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
浅野 水辺 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90283879)
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Keywords | 過酸化脂質 / チオバルビツール酸 / アルコール |
Research Abstract |
(1)チオシアン酸鉄法による過酸化脂質定量の妥当性を検討した。本測定法は、脂質過酸化物による鉄イオン酸化(Fe^<2+>→Fe^<3+>)の結果生成する、Fe^<3+>をチオシアン酸塩として吸光定量する方法である。Fe^<2+>は過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、リノール酸ヒドロペルオキシド、コレステロールヒドロペルオキシド、リン脂質ヒドロペルオキシドのいずれとも化学量論的に反応し、本法で測定した過酸化脂質の濃度は、ヨードメトリー、HPLC法での測定値ともよく相関した。さらに、健常人血漿を試料として本法で過酸化脂質定量を行ない、本法が過酸化脂質測定法として簡便性、感度の両面で有用な方法である事を示した。 (2)チオシアン酸鉄法を用いた市販キットを用いて各種脂質過酸化物およびヒト血漿中過酸化脂質を定量した。キットでの測定値は、上述のチオシアン酸鉄法による測定値とよく相関したが、その絶対値は何れもキットでの方が低値であった。特に、血漿中過酸化脂質の値は有意に低かった。本キットは簡便性の点で優れており、過酸化脂質の半定量法として十分使用可能であった。ただし、生体試料に応用する場合には、脂質抽出法を工夫する必要があった。 (3)アルコール依存症患者血漿、赤血球膜中過酸化脂質をチオシアン酸鉄法で測定した。脂質抽出はイソプロパノール/メタノール/クロロホルム系で行った。患者では健常人に比べ有意に過酸化脂質が増加していた。チオバルビツール酸法と異なり、チオシアン酸鉄法は脂質過酸化の第一次生成物を測定している。種々の病態で本法とTBA法での値を比べることにより、脂質過酸化の進行程度を類推できる可能性がある。
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