2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷によるシナプトフィジンの変化と神経機能低下の解明
Project/Area Number |
15790319
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
猩々 英紀 佐賀大学, 医学部, 助手 (60284626)
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Keywords | 頭部外傷 / 神経細胞変性 / シナプトフィジン |
Research Abstract |
本研究は頭部外傷による神経細胞損傷に関する研究である。シナプトフィジン(SYP)は、分子量38kDaのシナプス小胞膜タンパク質であり、シナプス小胞のエンドサイトーシスや再形成に関与していると考えられている。また、SYPはシナプスの特異的な分子マーカーであり、シナプス密度や神経細胞数の指標として用いられ、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患ではSYPが減少することが報告されている。頭部外傷に伴う神経細胞変性の機序を検討するために、脳損傷モデル動物を用いて、頭部外傷によるSYPの変化を経時的に調べた。 Wistar系雄ラット(8週齢、約300g)の右頭頂骨にドリルで約4.8mmの骨窓を開け、female luer-lockを留置して48時間飼育した。その後、脳損傷作製装置Fluid Percussion Deviceを装着し、側方打撃を与え脳損傷モデル動物を作製した。打撃強度は波形解析ソフトウエアーWaveStarを用いて算出した。打撃強度を3.5atmとし、打撃後2、15及び30日目の脳のパラフィン切片を作製した。 損傷脳の肉眼所見では、打撃後2日目に打撃部直下の白質に出血を伴う脳挫傷を認めた。打撃後15日目には同部位に陳旧性の出血を認め、打撃後30日目には出血はほぼ吸収されていた。組織所見では、打撃後2、15及び30日目ともに、軸索損傷と神経細胞変性を認めた。また、打撃後30日目にはglobule、spheroid小体と変性神経細胞を多数認め、軸索損傷と神経細胞変性の程度は増悪を示した。SYP抗体を用いた免疫組織化学では、軸索損傷によってSYPの局在性が変化することが判った。さらに、現在、脳損傷後の時間経過に伴うSYPの分子動態を検討している。 なお、本研究成果の一部は第88次日本法医学会総会で発表予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuhiko Kibayashi: "Heat-induced immunoreactivity of tau protein in neocortical neurons of fire fatalities"International Journal of Legal Medicine. 117・5. 282-286 (2003)
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[Publications] Junko Urata: "Inhibition mechanisms of hematophagous invertebrate compounds acting on the host blood coagulation and platelet aggregation pathways"Biochimie. 85・5. 493-500 (2003)
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[Publications] Kazuhiko Kibayashi: "Accidental fatal hypothermia in elderly people with Alzheimer's disease"Medicine, Science and the Law. 43・2. 127-131 (2003)