2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭痛の医療経済に及ぼす影響と心理社会的要因との関連に関する検討
Project/Area Number |
15790329
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
端詰 勝敬 東邦大学, 医学部, 助手 (30318274)
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Keywords | 片頭痛 / 慢性頭痛 / 医療経済 / 抑うつ / 不安 |
Research Abstract |
(目的)片頭痛や緊張型頭痛は慢性疾患であり、身体的健康被害と共に心理社会的要因への悪影響が大きいことが知られ、近年こうした慢性疾患に対する医療経済的観点からの検討が重要視されている。そこで、本研究の目的は機能性頭痛の医療経済的影響の実態とそれに関連している要因を明らかにすることとした。(方法)本年度の研究では予備的調査として、心療内科を受診した片頭痛患者の医療経済的影響と心理社会低要因について検討をおこなった。東邦大学心療内科を受診した片頭痛患者で本研究の目的を説明し同意の得られた7名(全員女性、平均年齢35.3歳)を対象とした。被験者には頭痛調査日記を配布し、1日計4回、連続2週間記録することとした。質問内容は頭痛の程度、随伴症状、ストレスな出来事の程度、日常のストレス、不安、抑うつ、イライラ、鎮痛薬の使用、休業状況、作業能率の低下などをVASにて評価させた。医療経済的影響に関しては、直接費用と間接費用を算出した。直接費用は診療録より得られた通院回数、治療内容に関する情報と、通院方法から算出し、間接費用は日記から得られた罹患に伴う社会的損失から算出した。(結果)片頭痛発作は7名中6名に認められた。直接費用に関しては受診内容、投薬内容、鎮痛薬の使用回数などの影響が大きく、総直接費用の平均は1118.6±1867.0円であった。一方、間接費用に関しては直接費用よりも社会的損失が大きい傾向を認めた。平均休業日数は1.0日であったが、能率低下日数の平均は7.9日を占め、能率低下にて損失する生産力は平均32.0%減であった。総間接費用の平均は29772.4±23934.1円であった。(結語)片頭痛患者の医療経済的影響に関して検討した。片頭痛患者において疾患に由来する社会的損失は大きいことが示唆された。また、損失に占める割合として、直接費用よりも間接費用の方が優位であることが示された。
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