2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝発がん過程におけるインターフェロン-γプロモーター領域メチル化異常の意義
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15790358
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎藤 義正 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90360114)
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Keywords | 肝細胞がん / DNAメチル化 / p21 / WAF1遺伝子 |
Research Abstract |
近年、慢性肝炎などの患者においてサイトカインの発現が血液より抽出したDNAの遺伝子多型により異なることが報告されている。今回我々は肝発がん過程におけるインターフェロン-γの発現変化とDNAメチル化の相関を検討するため、肝細胞がん患者の血液を採取し、DNAおよびRNAの抽出を試みた。しかしバイサルファイト制限酵素消化法を施行しうる量の核酸を回収できなかった。インターフェロン-γの発現異常による宿主免疫監視機構の臆弱化による発がんを検討するためには、やはり血液からの採取が必要であったため、予定を変更し、実際の臨床手術検体を用いて肝発がん過程におけるDNAメチル化異常の解析を行うことにした。そこで我々はp16と同様に細胞周期制御因子およびがん抑制遺伝子として機能するp21/WAF1遺伝子に注目した。外科的切除が施行された肝細胞がん患者25症例を対象として、それぞれのがん部および背景肝からゲノムDNAおよび全RNAを抽出し、p21のプロモーター領域に存在する2カ所のCpGアイランドについて、メチル化特異的PCR法およびバイサルファイト制限酵素消化法を行いDNAメチル化の状態を評価し、p21の発現との相関を調べた。肝細胞がんにおいてp21のmRNA発現が著明に低下している症例(がん組織/背景肝比が65%以下の症例)は42%(10/24)であり、これまでの報告とほぼ同様であった。また、今回の肝細胞がんにおける検討ではp21のプロモーター領域に存在する2カ所のCpGアイランドについては明らかなメチル化亢進を認める症例はみられなかった。最近急性リンパ性白血病においてp21のメチル化亢進がみられるという報告があるが、肝細胞がんにおいてはp21/WAF1の発現低下の原因としてプロモーター領域のメチル化亢進は関与していないと考えられた。またp16などは肝細胞がんにおいて高頻度にメチル化亢進が認められることから、DNAメチル化異常には臓器特異性、遺伝子特異性があることが示唆された。今後、DNAメチル化酵素やヒストン脱アセチル化酵素などが臓器あるいは遺伝子を選択的に標的する機序を解明する必要がある。
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