2003 Fiscal Year Annual Research Report
加齢によるbeta-defensin発現についての検討
Project/Area Number |
15790408
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 哲治 東京大学, 医学部附属病院, 教務職員 (50345203)
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Keywords | defensin / 抗菌ペプチド / 加齢 |
Research Abstract |
【研究目的】 β-defensinは、哺乳類の代表的な抗菌ペプチドであり、細菌の細胞膜に孔を形成して殺菌することが知られている。私は、ヒトおよびマウスのゲノム情報を利用して、複数の新規・-defensinを同定し、その組織分布と抗菌活性を明らかにしてきた。従来、・-defensinは、気道系や皮膚、腸管に発現することが知られていたが、私の同定した・-defensinも含めて、一部の・-defensinが精巣、精巣上体、胎盤のような生殖器に強く発現することが明らかとなった。これらの臓器での感染防御は、生殖のために極めて重要であるが、・-defensinを含む抗菌ペプチドの役割は、全く解明されていない。 human・-defensin-3(hBD-3)も、最初、ヒトの皮膚から単離されたが、その後、男性生殖器や胎盤で、むしろ最も強く発現していることが明らかとなった。私は、最近、マウスのゲノム情報を利用して、hBD-3のマウスホモローグmouse・-defensin-14(mBD-14)をクローニングし、mBD-14遺伝子全体をlacZ遺伝子に置換した遺伝子改変マウスmdefb14^<+/->-LacZマウスの作製に成功した。本研究は、このマウスを利用して、各組織でのmBD-14の発現を細胞レベルで調べ、さらに、mBD-14の欠損が及ぼす発生、生殖能力、感染防御能への影響を調べた 【研究結果】mdefb14^<+/->-LacZマウスの、男性生殖器を含む諸臓器や胎盤を摘出し、する、各臓器のどのような細胞がmBD-14を発現しているかを顕微鏡にて観察した。 複数のmdefb14^<+/->-LacZマウスやmdefb14^<-/->-LacZマウスを交配させ、妊娠の様々な時期で胎仔のDNAを抽出し、PCR法により遺伝子型を決定した。胎盤は、母体由来の部分と胎仔由来の部分があるため、それぞれの遺伝子型を分析することにより、mBD-14の欠損により、着床や胎仔の発生が阻害されるかを統計的に解析することができた。
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