2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフェノールによる肺癌および悪性胸膜中皮腫細胞に対する抗腫瘍効果の解析
Project/Area Number |
15790412
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
窪田 哲也 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (30274377)
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Keywords | 肺癌 / 悪性胸膜中皮種 / ポリフェノール / レスベラトロール / アポトーシス |
Research Abstract |
肺癌細胞に関しては前年度検討したため、本年度は悪性胸膜中皮腫につき検討した。悪性胸膜中皮腫の76歳患者胸水より細胞株TZR-1を新たに樹立した。ブドウ等に多く含まれる天然ポリフェノールであるレスベラトロールに着目し、その抗腫瘍効果を悪性胸膜中皮腫細胞株(TZR-1およびNCI-H28、MSTO211H)を用いて検討した。液体培養においてレスベラトロールは10-25μMの濃度でいずれの細胞株も50%増殖抑制を示したこ中でもMSTO211Hが最も抑制された。レスベラトロール(10μM)を用いて経時的効果を見たところ、2-3日の暴露にていずれの細胞株も50%の増殖抑制が得られた。この実験でもMSTO211Hが最も増殖抑制された。腫瘍抑制効果は濃度依存的に、また時間依存的に認められた。次に、レスベラトロールの抗腫瘍効果の作用機序として過去の実験でアポトーシスの関与が考えられたため、アポトーシスの誘導を形態、フローサイトメトリー、TUNEL法、Caspase-3アッセイにて検討した。レスベラトロール(10μM)を探与したところこれらのアッセイにてTZR-1,MSTO211Hについては有意なアポトーシスの誘導を確認できたが、NCI-H28についてはアポトーシスの誘導傾向がみられたものの有意差は認められなかった。ウエスタンブロット解析ではp21蛋白の発現増加が見られた。これらのことからレスベラトロールは悪性胸膜中皮腫においても抗腫瘍効果を示しその作用機序としてアポトーシスの誘導や細胞周期蛋白への影響が重要であると考えられた。次にin vivoでの抗腫瘍効果を見るためにMSTO211H細胞をヌードマウス皮下に移植し、レスベラトロールをcarboxymethylcellulose(1.5%)懸濁液のgavage法にて経口投与行い皮下腫瘍の形成抑制を検討した。1mg/kg,5mg/kgの2種類の濃度を用いて検討したがこれらの実験系では有意な増殖抑制を示すことはできなかった。量を増やし再検討する必要があると思われた。これらの結果は現在投稿中である。
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