2003 Fiscal Year Annual Research Report
慢性酸化ストレス負荷糖尿病性腎症モデルの作製及び解析
Project/Area Number |
15790428
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
楊 景堯 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90323302)
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Keywords | Nrf2 / 糖尿病 / 酸化ストレス / 転写因子 |
Research Abstract |
糖尿病及び糖尿病性腎症における酸化ストレスの役割を解明し、病態進行への関わりを検討するため,酸化ストレス関連転写因子であるNrf2のノックアウトマウスに糖尿病を発症させ,その経過を観察した。 1.糖尿病性腎症マウスの作製 (1)streptozotocin(STZ)注射による糖尿病モデルの作製 Nrf2ノックアウトマウス(KO群)と野生型マウス(wild群)それぞれ30匹にSTZをクエン酸溶液混合液にて150mg/kgの容量で腹腔内投与し,その後血糖値が300mg/dl以上を随時維持したマウスのみ使用。また,両群の対照群にはクエン酸溶液のみ投与し,検討した。 2.STZモデルの評価 (1)糖尿病の評価 KO群とwild群の両群はSTZにて誘導以後、血糖値は500mg/dl以上を持続し、糖尿病を発症継続した。しかし、KO群では対照群とwild群に比べ、体重の減少が著しく、24週での体重は30.3g±3.6gを呈した(KO対照群38.8g±2.2g)(wild群とwild対照群:33.1g±3.7g、37.4g±2.9g)。また、KO群では50%生存率が24.4週とwild群の52.9週と比較し,著しく短縮し,死亡率の上昇が認められた(両群の対照群ではいずれも60週以上)。 (2)腎障害の評価:両群の腎機能については,STZ投与前では有意差はなかったが,投与2週目では,血清クレアチニンがKO群では0.430mg/dlとwild群(0.293mg/dl)に比べ有意に上昇し,以後継続して上昇を呈した。 以上よりNrf2 KO群では糖尿病誘導により体重減少など衰弱が進行し、生存率の低下、腎障害の進行が認められた。これらの原因としては、Nrf2欠損に伴い、酸化ストレスの増加によるものが考えられ、平成16年度では酸化ストレスマーカー(AGE、酸化ストレス関連遺伝子)の解析及び病態への関与の検討を中心に進めていく予定である。
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