2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸茂 丈史 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (70265817)
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Keywords | 内皮障害 / 糸球体腎炎 / 細胞治療 / 骨髄単核細胞 |
Research Abstract |
内皮前駆細胞へ分化誘導した骨髄単核細胞のThy-1腎炎モデルへの投与の実験を昨年度に引き続き行った。6週齢ルイスラットから採取した骨髄単核細胞を、VEGF, basic FGFなどの内皮の成長因子存在下で培養し、実験に用いた。 ルイスラットに抗Thy-1抗体(Mo Abs 1-22-3)を経静脈投与し、Thy-1抗体腎炎を作成し、培養骨髄細胞投与の内皮障害に対する効果を調べた。抗体投与1日後に左腎動脈内に培養骨髄細胞を注入し、7日後にラットをsacrificeし、左右の腎臓の変化を比較した。定量的な解析で、糸球体内皮は、正常ラットに対し、thy-1腎炎群の未治療側(右腎)では減少がみられたが、thy-1腎炎群の細胞治療側(左腎)は内皮が有意に保たれることが明らかになった。さらに、細胞投与により、α-SMAを指標としたメサンギウムの活性化とマクロファージ浸潤を抑制することが判明し、培養骨髄細胞の腎炎進展に対する抑制効果が明らかになった。注入した骨髄細胞の15%は内皮のマーカー(RECA-1)を発現しており、一部は内皮前駆細胞として働いたことが確認された。さらに、骨髄細胞は培養後にVEGF産生が著明に増加することが認められ、細胞移植後に、取り込まれた培養骨髄細胞は腎臓内障害部位で液性因子を産生することによる内皮保護作用の関与も考えられた。 これらの結果は、骨髄から得られた内皮前駆細胞による細胞治療が増殖性腎炎に対して有効であることを示し、腎疾患に対する新しい治療手段として有望であることを示唆している。
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Research Products
(2 results)