2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性小脳失調原因遺伝子アプラタキシンの野生型及びスプライス変異型蛋白の機能解明
Project/Area Number |
15790453
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
平野 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50347548)
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Keywords | 小脳失調症 / スプライス変異体 / アプラタキシン |
Research Abstract |
眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型小脳失調症(EAOH)は本邦では最も多い常染色体劣性小脳失調症である。原因遺伝子アプラタキシンには既報告の1種に加え、新たに6種のスプライス変異体が存在することが本研究の予備実験により明らかされた。野生型を含む8種のmRNAは4種の蛋白をコードする。本研究の目的はこれらの野生型および変異型蛋白の発現解析とアプラタキシン機能解析である。まず、これら変異型mRNA発現の定量を各種臓器について行ったところ、臓器特異的発現が認められ、野生型は大脳、小脳、肝などの障害臓器に多く、変異型は他の臓器に優位に発現していた。このことから、障害臓器では野生型への依存度が大きく、非障害臓器では変異型がなんらかの機能維持に貢献している可能性が考えられた。これら変異体の蛋白レベルでの解析を行うため、モノクローナル抗体の作製を試み、アプラタキシンに特異的に反応する1クローンを単離した。野生型の一部のみを有する種々の発現ベクターを用いたウエスタンブロットの検討で、この抗体は野生型342アミノ酸中89-174位の配列を認識していることが判明した。この配列は3種類の変異体蛋白のうち1種と野生型の両者を認識する。またアプラタキシンの神経系細胞における機能解析を目的としてアデノウイルスの作製を行った。これを用いて、細胞内にウイルスベクター由来のアプラタキシン蛋白発現をウエスタンプロットで確認した。以上の成果は今後、アプラタキシンの機能解明、さらにはEAOHの治療法開発に貢献できると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Makito Hirano: "Alternative spliced transcripts of aprataxin in early-onset ataxia with oculomotor apraxia and hypoalbuminemia"Annals of Neurology. 54・supple 7. S58 (2003)
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[Publications] Makito Hirano: "Genetics of spinocerebellar ataxias"Journal of Nara Medical Association. (In press). (2004)