2003 Fiscal Year Annual Research Report
心臓特異的リポ蛋白リパーゼ過剰発現マウスの脂肪毒性による心筋障害のメカニズム解明
Project/Area Number |
15790468
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
野牛 宏晃 自治医科大学, 医学部, 助手 (60348018)
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Keywords | リポ蛋白リパーゼ / 脂肪酸 / 脂肪毒性 / 心筋障害 / PPAR-α |
Research Abstract |
リボ蛋白リパーゼ(LpL)はリポ蛋白中のトリグリセライド(TG)を水解し脂肪酸(FA)、を産生する酵素であり、血清リポ蛋白代謝と共に組織でのエネルギー代別に重要な酵素である。近年私達はGPI anchorを結合させたLpLを心筋細胞に過剰発現させたトランスジェニックマウス(hLpL^<GPI>)を作製し、脂肪毒性(lipotoxicity)による心筋障害を明らかにした。hLpL^<GPI>マウスでは、心臓におけるリポ蛋白由来のTGあるいはFAの取り込みが増加すると共にPPAR-α、acyl-CoA oxidase、CPT-1といった細胞内脂肪酸代謝及びβ酸化経路に関与する酵素の遺伝子発現が亢進していた。また電子顕微鏡ではミトコンドリアの増殖、心筋構造の破壊を認め、心臓超音波では心機能低下が認められた。これよりこマウスの心筋障害は、LpL過剰発現による脂肪酸の取り込み増加・脂肪酸β酸化の亢進が関与していると考えられた。そこで現在、hLpL^<GPI>マウスにおいてPPAR-α遺伝子を欠損させ、PPAR-αの心筋障害に及ぼす影響を検討している。hLpL^<GPI>マウスとPPAR-α欠損(PPAR-αKO)マウスを交配させ、hLpL^<GPI>/PPAR-αKOを作製し、血糖及び血清脂質について検討した。KLpL^<GPI>/PPAR-αKOマウス(n=3)はhLpL^<GPI>マウス(n=4)に比べ、血糖が35%低下(33.7±6.9vs.50.8±2.7 mg/dl, p0.01)、TGは226%の増加(114.2±77.2 vs.35.0±8.0,p=0.1)を認めた。この結果よりhLpL^<GPI>/PPAR-αKOマウスでは、諸臓器における糖利用率が亢進している一方、TG、FAの利用が低下していると考えられる。今後、さらに心臓での脂肪酸、糖代謝と共に心機能についても検討していく予定である。
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