2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症および腎症の発症・進展と分泌型可溶性AGE受容体タンパクの存在意義
Project/Area Number |
15790474
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大澤 真里 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80349654)
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Keywords | 糖尿病合併症 / AGE / AGE受容体 / 食事負荷試験 / ブドウ糖負荷試験 |
Research Abstract |
糖尿病血管合併症の発症・伸展のひとつの経路としてAdvanced glycation endproducts(AGE)とその受容体(RAGE)の相互作用の重要性が明らかにされつつある。これまでRAGEのisotypeのひとつである内在性可溶性RAGE(esRAGE)と合併症の研究から、esRAGEの発現が低いと合併症が進行しやすいことを報告し、デコイ受容体として血管障害に対し保護的に働いている可能性を提唱した。しかし、どのような因子がこの作用間で調節の役目をしているかなど、血清esRAGEの実際の動態については良く分かっていなかった。今年度はこの動態解明の一環として、食事およびぶどう糖負荷試験時の血清esRAGEを測定し、血糖値とesRAGE量との関係を検討した。 対象は当院通院中で、外来で食事およびブドウ糖負荷試験を施行された2型糖尿病患者49名(男性31名、女性18名)である。2型糖尿病患者に用いた食事は蛋白15g、脂肪9.1g、糖59g、塩分2.1gで調理した検査食である。健常者には75Gぶどう糖を用いた。負荷前、負荷後1、2時間に採血し、血中esRAGE(ELISA)を用いて測定した。2型糖尿病患者の負荷前esRAGE値は血糖値、HbA1c、BMI、負荷時IRI、血圧、血清Cr、血清コレステロール、中性脂肪のそれぞれと相関せず、性差との関連もなかった。負荷前血糖値158+-41mg/dl、負荷後2時間血糖値247+-61mg/dlだったのに対して、血清esRAGE値は負荷前0.24+-0.14ng/ml、負荷2時間0.21+-6.11ng/mlであった。負荷後のesRAGEは有意に低値となった(p<0.001)。またesRAGEは負荷前値と負荷2時間値の間に有意の負の相関を認めた(P<0.0001)。一方、健常者のesRAGE値は負荷前0.23+-0.14ng/dl、2時間値0.21+-0.12ng/mlで、食事負荷の結果と同じであった。食事およびブドウ糖負荷により「血清esRAGE値がは低下する」ことが明らかとなった。
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