2005 Fiscal Year Annual Research Report
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の新規治療法の開発
Project/Area Number |
15790489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大井 淳 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20302606)
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Keywords | フィラデルフィア染色体 / 急性リンパ性白血病 / BCR / ABL / Imatinib / リポソーム / CD19 |
Research Abstract |
本研究はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対する新たなターゲティング治療法の開発を目的としている。はじめにPh+ALL細胞の特徴であるbcr-abl融合蛋白とCD19抗原をターゲットとした抗CD19抗体とBCR/ABLチロシンキナーゼインヒビター(イマチニブ)の免疫複合体であるイムノリポソーム(イマチニブ封入CD19リポソーム)を作製し、イマチニブ未使用患者およびイマチニブ耐性患者由来のPh+ALL細胞でのイマチニブ封入CD19リポソームの細胞障害牲を検討した。イマチニブ未使用例やbcr-abl融合蛋白質の253番のチロシンがヒスチジンに変異したイマチニブ耐性例においても、イマチニブ封入CD19リポソームは、イマチニブ単独や他のリポソームに比べ、濃度依存的に有意に細胞障害性を示した。またPh+ALL細胞に対するアポトーシス誘導効果を検討した結果、イマチニブ封入CD19リポソームは、イマチニブ単独や他のリポソームに比べ、その効果が強いことが確認された。さらに正常造血前駆細胞に対する検討を行った結果、高濃度のイマチニブ単独ではコロニー形成が完全に抑制されたが、イマチニブ封入CD19リポソームではコロニー形成抑制を回避することができた。以上のin vitroの結果はBlood 104:1442-1449(2004)に報告した。今年度はin vivoにおけるイマチニブ封入CD19リポソームの効果を解析するためNOD-SCIDマウスにPh+ALL細胞株を移植したモデルマウスを用い検討を試みたが、いまだ十分な解析はできていない。今後はin vitroの系をさらに発展させ、最近開発されつつある新たなBCR/ABLチロシンキナーゼインヒビターを用いたCD19リポソームでの検討を行いたい。
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Research Products
(2 results)