2003 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞の試験管内発生モデルを用いた造血幹細胞の多分化能獲得機構の研究
Project/Area Number |
15790495
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 比呂志 熊本大学, 発生医学研究センター, 助手 (00347014)
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Keywords | c-Myb / 成体型造血 / ES細胞 |
Research Abstract |
成体型造血に必須であるc-mybの機能解析をストローマ細胞OP9を用いたES細胞の試験管内発生モデルにより行った。c-myb遺伝子破壊ES細胞では、野生型ES細胞と異なり血管内皮細胞由来の血液細胞をほとんど観察できない。そこで、Tetracycline(Tet)によるc-Mybの発現制御が可能なES細胞(Tet-Myb/KO)をc-myb遺伝子破壊ES細胞から樹立した。このES細胞から分化した細胞において、c-MybはTet除去により発現し、Tet添加により急激に発現量を減少した。Tet-Myb/KOからはTet非存在下で多数の血液細胞が血管内皮細胞から発生したが、その血液細胞は野生型ES細胞とは異なっていた。Tet-Myb/KOの血管内皮細胞由来の血球細胞において、脱核した赤血球は大幅に減少し未熟な赤血球(CD71^<high> Ter119^<Low/->)が蓄積していた。また、Tet-Myb/KOからB細胞(CD19^+B220^+)は発生しなかった。そこで、c-Mybの発現時期を血管内皮細胞から血液細胞が発生する数日間に限定して赤血球の分化を検討した。c-Mybは、未熟な血液細胞において重要であり、その後の赤血球分化には抑制的に機能すると報告されている。そこで、このような時期特異的なc-Myb発現により赤血球分化での異常が回復すると想定されたが、成熟した赤血球の発生は観察されなかった。 以上の結果より、c-myb遺伝子破壊ES細胞において血管内皮細胞以降のc-Myb発現は成体型造血の一部を回復した。
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