Research Abstract |
我々は,最近,各種生物材料から効率的にユビキチン化蛋白質を単離・同定可能な方法を確立した.本研究では,この特殊な手法を用いることにより,"骨髄腫細胞において,プロテアソーム阻害剤添加時に蓄積する新規標的蛋白質(マルチユビキチン化蛋白質)の精製と同定"を行なうことを目的とする. <精製材料の調整> 多発性骨髄腫細胞株(U266,RPMI8226)をATCCより購入した.プロテアソーム阻害剤として,MG132,Lactacystinを購入した.また,多発性骨髄腫に対する臨床試験が行なわれているProteasome Inhibitor (PS-341,Bortezomib, Vercadem)の使用に関して,米国Millennium社に共同研究を依頼し,承諾を得られたため,本研究に応用するべく準備ξ進めている.各細胞株を,対数増殖期およぴプロテアソーム阻害剤(0.01,0.1,0.5,1.0,10nM)存在下で培養した.培養液として,20%FBS添加のRPMIを用いた.培養時間は,24hr,48hr,72hrと様々な条件に設定し,それぞれから細胞内蛋白質を抽出した.まず,PBS-bufferにてwash outした後に,50mM Tris-HCl bufferで溶解し,遠心分離した上清を水溶性画分とした.次に,Pelletを8M入りの50mM Tris-HCl bufferで溶解し,これを尿素溶性画分とした.これらの試料をもとに,抗ユビキチン抗体を用いたWestern blottingにより解析した。MG-132を1.0nM存在下で48hr培養した時の細胞抽出液(水溶性画分)に,多量のユビキチン化蛋白質の蓄積が認められた。今後、この条件にて細胞を大量に培養し、その抽出液を材料として標的蛋白質の精製を行なう予定である.
|