2003 Fiscal Year Annual Research Report
C/EBPδの造白血病機能解析:ヒト試料および遺伝子改変マウスを用いて
Project/Area Number |
15790505
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田野崎 栄 日本医科大学, 医学部, 助手 (70267186)
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Keywords | CCAAT enhancer binding protein delta / 慢性骨髄性白血病 / p27 |
Research Abstract |
癌化の原因には増殖異常だけでなく正常分化の破綻も関わっており、このメカニズムを明らかにすることは白血病の新しい治療の開発に重要な意味を持つ。骨髄球系への分化にはある特別なtranscriptional factorの活性化や発現が必要である。そのひとつであるCCAAT enhancer binding protein delta (C/EBPδ)は、急性白血病細胞株と異なり慢性骨髄性白血病急性転化からの樹立細胞株KCL22、K562においてC/EBPδの機能発現が消失しておりCML急性転化病態との関連が強く考えられる。我々は、Zn誘発性のベクターを使用しC/EBPδをKCL22細胞およびK562細胞株に発現させたところKCL22はday3より空ベクターを導入細胞と比べ増殖が有意に抑制された。この際、核が分葉濃縮し好中球様変化を起こした。この時GO/G1 arrestを起こしていた。さらにウェスタン・ブロット法でp27蛋白がday3より発現し、real time RT-PCR法ではmRNAの発現増加をday2より認められた。他の細胞周期関連蛋白には変化を認めなかった。p27とC/EBPδのdirect interactionを免疫沈降法で調べたが明らかではなく、他の細胞周期制御蛋白E2F1,RbとC/EBPδが結合することを突き止めた。さらにp27の上流にあるFKHR蛋白のリン酸化を調べたところ活性がday1で有意に上昇していた。さらに好中球形態変化の質的変化を2次顆粒遺伝子の発現などで調べたところneutro-phil collagenase、MPOは誘導されたがlactoferrinは認めずCD11bやNBT還元能も誘導されなかった。以上よりC/EBPδによりKCL22は細胞周期制御蛋白E2F1,Rbとの直接結合やFKHRの活性化によりp27の発現を誘導し不完全な分化が生じ増殖を抑制したと考えられた。この変化にapoptosisは伴わなかった。また患者検体を用いC/EBPδの蛋白発現を慢性期、急性転化時で比較したところ急性転化時C/EBPδの蛋白発現が低下している症例を認めた。我々はBCR-ABL form, p230トランスジェニックマウスを作成したのでC57BL/6マウスのC/EBPδ wild type(+/+),heterozygous type (+/-),homozygous type(-/-)それぞれと掛け合わせ、発症するCML表現型の差を詳細に検討する。
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