2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト免疫不全症ウイルス・細胞融合機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
15790511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
児玉 栄一 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50271151)
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Keywords | HIV / 治療 / ペプチド / 融合 / 阻害剤 / 耐性 |
Research Abstract |
In vitroにおけるgp41由来ペプチドに対する耐性機序を明らかにするため、gp41C末端heptad repeat由来ペプチドC34耐性HIV-1株を作製し、その耐性機序を解析した。その耐性ウイルスのgp120では連続する5アミノ酸が欠失しており(ΔFNSTW)、またgp41では計7つのアミノ酸置換が認められた(A30V、D36G、Q39H、I37T、I37K、N126K、L2041)。このうちI37T、I37KおよびN126Kは耐性化に関与しており、その中でもI37Kが耐性責任変異であったが、I37Kのみでは十分なC34耐性を得られず、高度耐性を獲得するためにはアミノ酸変異の蓄積が必要であることが示された。一方、A30V、D36GおよびL2041は複製能の向上に、gp120に認められたΔFNSTWは耐性度の上昇と複製能の向上の両方に関与していた。本研究の結果から、耐性に直接寄与する変異がまず導入されるが、それらは同時に複製能を低下させてしまうため複製能を向上させる変異が出現し、それらが交互に追加されてゆくことが示された。また、耐性責任変異であるI37KはC34との結合力を弱めるが、N126Kは、I37Kを有する変異N-HRとの結合力を回復させることを明らかとした。A30とD36における塩基置換は、ウイルスゲノムRNAを細胞核外へ輸送するRevタンパクが結合するRev responsive element (RRE)領域中に存在し、I37の置換によって変化したRREの2次構造を補正していた。さらにgp41コード領域はRREのみならず、tatやrevの一部をコードしていることから、HIVは融合阻害剤に対する変異を容易に導入することはできないと推測された。これらの結果は、HIV-1の融合阻害がHIV-1の化学療法における有効な標的の一つであることを示唆している。
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Research Products
(6 results)