Research Abstract |
目的: NKT細胞の連続的活性化に伴い,免疫寛容現象が誘導される.今回我々は,樹状細胞(DC)に着目し,NKT細胞によるDCを介した免疫寛容誘導の可能性について,NKT細胞の活性化に伴うDCの機能変化に着目して検討を加えた. 方法および結果 1.α-GalGer(αGC)を腹腔内投与し,投与前DC(DC^<GC0>),1回投与後DC(DC^<GC1>),連続投与後DC(DC^<GC3>)の機能変動を,表面分子の発現変動,およびサイトカイン産生の側面から確認した.DC^<GC1>において,I-A, CD40,CD80,CD86の発現上昇が認められ,また,IL-6,IL-12,IFN-γ,TNF-αの産生が亢進した.DC^<GC3>では細胞表面分子の上昇は軽微であり,上記サイトカインの産生亢進は認められなかった.一方DC^<GC1>では認められなかったIL-10の産生亢進が認められた. 2.Naive T細胞を用い,各DCのT細胞分化誘導能を検討した.DC^<GC3>とT細胞の共培養により,DC^<GC1>に比しTh2細胞が高頻度に誘導された. 3.各種遺伝子欠損マウスを用い,DC^<GC3>表現型の誘導に重要な因子を探索した.IL-10欠損マウスにて誘導したDC^<GC3>においては,IL-12の産生亢進抑制が消失した. 4.DNA microarray法を用い,DC^<GC3>に特異的に発現している遺伝子を探索した結果,DC^<GC3>において,転写因子Crip1の発現亢進が確認された.レトロウイルスによる遺伝子強制発現,RNAi法による遺伝子機能抑制を適用し,Crip1機能を確認した結果,強制発現・発現抑制のいずれによってもDC機能は変化せず,DC^<GC3>の機能発現にはCrip1は関係しないと推察された. 5.RT-PCR法にてDC機能に関連する種々遺伝子の発現変動を確認した.その結果,DC^<GC3>におけるSOCS遺伝子の発現減少が認められた.
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