2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性ムコ多糖症のろ紙血液を用いた新生児マススクリーニング法の開発とその展開
Project/Area Number |
15790522
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
磯貝 光治 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (40322135)
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Keywords | ムコ多糖症 / マススクリーニング / ケラタン硫酸 |
Research Abstract |
昨年、我々とセントルイス大学及び生化学工業との共同研究で、ケラタン硫酸(KS)、ヘパラン硫酸(HS)、コンドロイチン硫酸(CS)、デルマタン硫酸(DS)に対して特異的に反応する特殊抗体を作成した。この抗体を用いてサンドイッチELIZA法を応用して、グルコサミノグリカン(GAG)を測定するキットを作成した。本キットを用いて、岐阜大学と大阪市立大学、国立成育医療センターで経過観察中のムコ多糖症(MPS)患者および健常人の血漿とろ紙血から抽出した血漿を材料として検討した。研究結果:患者と正常人の血漿を検体として、キットを用いてムコ多糖,KS,HS,CS,DSの測定を行った。患者の内訳は、ムコ多糖症II型が16例、IVA型8例、III型が2例である。まず、KSの測定では、全ての型で正常人に比べ、明らかな高値をとった。HSでは、MPS患者が高値をとる傾向があった。DSでは、MPS患者と正常人で差を認めなかった。次に、ろ紙血から抽出した血漿での測定結果と、血薬から直接測定した結果を比較したところ非常に強い相関を認めた。このことからろ紙血から抽出した血漿でのKS測定でMPSマススクリーニングが可能となると考え、正常人のろ紙血の検体数を増やし検討した。正常人での血中ムコ多糖は新生児期は低く、年齢を重ねると増加し、成人期以降は減少していく傾向がある。そこで新生児を含めた年少児の血漿KSの測定を集中的に施行したところ、少数ながらも測定値の重なりがあり、偽陽性や偽陰性の発生が危惧された。考察、結論:本研究で使用したムコ多糖測定キットは、従来の測定法に比べ簡便でその有用性は高いと考える。しかし、本キットのみでは、一部で偽陽性偽陰性を生じる可能性がある。今後は、さらに本キットによるスクリーニングに他の検査を併用して、精度の高いスクリーニングを構築しなければならない。
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Research Products
(1 results)