2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゴーシェ病における細胞障害への免疫の関与の検討および新しい治療法の開発
Project/Area Number |
15790528
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 岳彦 鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (80346361)
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Keywords | ゴーシェ病 / サイトカイン |
Research Abstract |
ライソゾーム病の神経変性と免疫系の関与については、Krabbe病やTay-Sachs病、Sandhoff病ではモデルマウスでの報告が、Gaucher病では患者血清での報告がされている。そこでGaucher病患者およびその他のライソゾーム病患者の培養皮膚線維芽細胞における炎症性サイトカイン産生について検討した。 対象は日本人Gaucher病患者6名、その他異染性白質変性症、マルチプルスルファターゼ欠損症、krabbe病、GM_1ガングリオシドーシス、Fabry病の患者各1名とし、コントロールとして健常または代謝異常のない人6名を用いた。測定するサイトカインはinterleukin(IL)-1β、IL-6、tumor necrosis factor(TNF)-α、IL-8とした。皮膚線維芽細胞を培養し増殖後期に血清を抜いた培地に交換し、その後2日培養した後に培養上清中のサイトカイン濃度をELISAにより測定した。 コントロールと比較してGaucher病患者6名中1名においてIL-6が著明に高値であり、別の1名においてはIL-8が高値であった。またGM_1ガングリオシドーシス患者1名においてIL-6およびIL-8の上昇を認めた。その他のライソゾーム病患者ではIL-6およびIL-8の上昇は認めなかった。またIL-1βおよびTNF-αについては全例で明らかな上昇は認めなかった。 Gaucher病とGM_1ガングリオシドーシスの少なくとも一部の患者においてIL-6およびIL-8の増加を認めた。Gaucher病患者ではIL-6とIL-8の値は患者間で差が大きく、恒常的な異常ではなく間接的に病態に関与している可能性が考えられた。IL-6およびIL-8と遺伝子変異、病型または重症度との関係について、症例数を増やした検討を行う予定である。
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