2003 Fiscal Year Annual Research Report
周生期覚醒剤曝露が小脳形態形成と小脳性運動獲得に及ぼす影響
Project/Area Number |
15790552
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
崔 春 徳島大学, 医学部, 助手 (70346592)
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Keywords | Methamphetamine / Rat / Brain malformation / Glia limitans |
Research Abstract |
妊娠SDラットにメタンフェタミン(5mg/kg/day)を妊娠10日から20日まで皮下投与した(MA群)。対照ラットには生理的食塩水を皮下投与した(SAL群)。妊娠21日に母獣を帝王切開して胎仔を取り出し、胎仔脳をブアン液またはザンボニ液に浸漬固定した。脳の前頭断パラフィン切片を作製し、組織構築を観察した。一部胎仔は無処置の母獣に育てさせ、生後8週で灌流固定した後、脳を取り出した。脳のパラフィン切片を作製し、HE染色または免疫染色により脳の組織構築を観察した。 MA投与妊娠ラットの体重増加率は投与期間を通してSALラットより低く、妊娠15日からは有意な差が認められた。母獣あたりの胎仔数には有意な差が認められなかったが、胎生21日胎仔の体重と脳重は雌雄ともにMAラットでSALラットより有意に低い値を示した。胎仔の脳重/体重比には雌雄共に有意差が認められなかった。胎生21日MAラットでは、microgyria、脳表面から深部にまで及ぶ溝、脳表面に突出した異所性細胞塊、大脳皮質第I層の部分的欠失、側脳室に突出した細胞塊、海馬の低形成など、多様な組織構築異常が認められた。生後8週のMAラット小脳では、V葉とVI葉の癒合が認められた。癒合部周囲では、分子層に異所性顆粒細胞を認めた。また、GFAP陽性のBurgmann glia繊維の乱れや、その終足によって形成されるGlia limitansの欠失が観察された。 以上の結果から、胎生期のメタンフェタミン曝露は大脳と小脳において組織構築の異常を引き起こすことが示唆された。これらの形態異常は脳の機能障害をもたらすと推察される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 坂田ひろみ, 太田恭子, 崔 春, 澤田和彦, 福井義浩: "胎生期メタンフェタミン曝露によるラット脳の組織構築異常(抄)"解剖学雑誌. 78(Suppl.). 209 (2003)