2004 Fiscal Year Annual Research Report
周生期覚醒剤曝露が小脳形態形成と小脳性運動獲得に及ぼす影響
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15790552
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
崔 春 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (70346592)
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Keywords | Methamphetamine / Developmental Neurotoxity / serotomin / Dopamine |
Research Abstract |
SDラットの妊娠10〜20日にメタンフェタミン(MA) 5mg/kg/dayを皮下投与し、仔を胎生21日齢および生後7週齢で実験に用いた。対照としては生理食塩水を皮下投与したラットの仔を用いた。生後7週齢のラットに対し平行棒歩行試験を行ったところ、MA曝露ラットに異常を認められなかった。胎生期MA曝露では小脳小葉癒合や組織構築異常が報告されており、運動障害などの原因となる可能性が示唆されていたが、今回の結果から、平行棒歩行試験で検出可能な運動障害には達していないと考えられた。 ラット胎仔脳のホモジネートを調整し、HPCLによりアミン類とその代謝産物の定量を行った。MA曝露したラット胎仔脳においては、ドーパミン(DA)と代謝産物であるDOPACおよびセロトニン(5-HT)とその代謝産物である5-HIAA量に変化は認められなかった。また、ラット胎仔の脳をブアン液にて浸漬固定した後、パラフィン切片を作製し、抗チロシン水酸化酵素抗体および抗5-HT抗体を用いて免疫染色を行ったところ、やはり変化は認められなかった。よって胎生期のMA曝露はDAおよび5-HT神経系の発達に影響しない可能性が示唆された。MAをDA神経に取り込むドーパミントランスポーターは、ラットでは、出生後に発現が増加することが知られており、DA神経系に対するMAの影響は、胎生期のラットでは成獣より少ない可能性が考えられた。 ラット胎仔脳のホモジネートを調整して、Western blot法により脳形態形成に関与する細胞外基質であるNCAM、L1、およびラミニンの発現を解析したところ、いずれもMA曝露の影響を受けていなかった。免疫組織染色によりこれらの局在を調べたところ、変化は認められなかった。胎生期MA曝露によって引き起こされる脳形態異常の原因についてはさらに検討が必要であると考えられる。
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Research Products
(1 results)