2003 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎発症モデルマウスにおける精神的ストレスの役割とその機序の研究
Project/Area Number |
15790566
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
天野 博雄 群馬大学, 医学部, 助手 (70302487)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 精神的ストレス |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者では、環境因子であるダニ、ほこりなどが皮膚炎や痒みの症状を増悪させることが知られている。同時にそれらの環境因子が遺伝的な要因とともに病気の主たる発症原因とも考えられている。一方、精神的ストレスは痒みを増悪させ、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させることも臨床的に知られている。しかしながら精神的なストレスのみでアトピー性皮膚炎が発症するという報告はいまだない。そこでアトピー性皮膚炎モデルマウスを用い、精神的ストレスのみでアトピー性皮膚炎が発症するかどうか検討した。今回の研究では、ストレッサーとして、water avoidance stress (WAS)を用いた。(1)アトピー素因のあるモデルマウス(NC/Ngaマウス)に精神的なストレス(WAS)を加えることでアトピー性皮膚炎が発症するかどうか、(2)アトピー素因のないマウスを用いた場合は、精神的なストレスを加えてもアトピー性皮膚炎が発症しないか、(3)NC/Ngaマウスに精神的なストレスを加えることでアトピー性皮膚炎が発症した場合、アトピー性皮膚炎発症機序として、corticotrophin-releasing factor (CRF)および肥満細胞の関与を検討する。 SPF環境下においてNC/NgaマウスにWASによる精神的ストレスを加えたところ、精神的ストレスを加えたマウスではアトピー性皮膚炎様症状を呈し、皮膚炎スコアの上昇、および血清IgE値の上昇を認めた。一方、ストレスを加えない群ではアトピー性皮膚炎様症状を発症せず、血清IgE値の上昇も見られなかった。またアトピー素因のないBalb/cマウスでは精神的ストレスを加えても皮膚炎は発症せず、血清IgE値の上昇も見られなかった。いずれの群のマウスにおいても血清中のIL-4,IL-5,IFN-γは上昇しなかった。ついで皮疹部と無疹部の組織を用いてトルイジンブルーによる肥満細胞染色を行った。皮疹部組織においては、無疹部と比較して肥満細胞の増加が見られた。
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