2003 Fiscal Year Annual Research Report
Th1/Th2細胞における皮膚ホーミングレセプター発現機序に関する研究
Project/Area Number |
15790597
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高橋 良 杏林大学, 医学部, 助手 (00317091)
|
Keywords | 皮膚ホーミングT細胞 / E-セレクチン / 皮膚リンパ球関連抗原 / CLA / フコシルトランスフェラーゼ / サイトカイン / Th1 / Th2 / ホーミングレセプター |
Research Abstract |
皮膚の免疫学的恒常性は,炎症部位へその時必要とされるメモリーT細胞を適切なタイミングでホーミングさせる事によって維持されている。ある機能を持ったT細胞が皮膚へ遊走するという決定は,それ自身の持つ独自の能力によってではなく,むしろ皮膚局所のサイトカイン環境に基づいてなされる方が自然である。しかしTh1あるいはTh2細胞がいつ,どのようなサイトカイン環境の時に皮膚へホーミングするのか?といった論議は未だされておらず,またそのメカニズムも良く判っていない。我々は機能的に分化させたヒトTh1・Th2細胞が,免疫学的恒常性を維持する為に効率良く皮膚にホーミングする機序について検討を加え,新たな知見を見いだした。 まず我々はナイーブT細胞からin vitroでTh1・Th2に分化させた細胞を用いて,CLA(皮膚リンパ球関連抗原:皮膚ホーミングレセプターと言われていた分子)及びケモカインレセプタのCCR4の発現と共に,E-セレクチンへの結合能(E-セレクチンリガンド:ESLの発現)を,継時的にFACSで測定・解析した結果,新たな知見を得た。 1)Th1細胞をIL-12存在下で刺激した時,CLAの発現と同様にESLの持続的な発現を示したが,CCR4は検出できなかった。対照的に,Th1細胞をIL-4存在下で刺激した場合,CLA発現は消失したがCCR4の発現が誘導された。なお,この間ESLの発現は維持されており,Th2-richな皮膚の環境はTh1細胞の選択的な遊走を促すと考えられた。 2)一方,Th2細胞のCCR4発現はIL-4,IL-12のどちらの存在下で刺激した場合でも認められたが,ESLの持続的発現はIL-12存在下で刺激した場合に認められた。このように,Th2細胞はTh1-richな環境においてESLとCCR4の両者を共に発現することにより,皮膚に優先的に遊走すると考えられる。 これらの結果より,Th細胞は相反するサイトカイン環境においてCCR4,ESLを効率良く発現するととにより,皮膚の炎症部位へタイミング良く遊走し,免疫反応が過剰になるのをコントロールしていると考えられる。
|