2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790602
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
溝口 将之 順天堂大学, 医学部, 講師 (20317473)
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Keywords | 培養表皮シート / 臍帯上皮 |
Research Abstract |
これまで我々は、臍帯上皮では表皮に類似した分化関連蛋白の発現を認め、さらに臍帯から上皮細胞を分離培養し、コラーゲンゲル上で三次元培養を行うことにより、表皮角化細胞同様に重層化させることが可能であり、顆粒層、角層を伴った培養表皮シートの作成が可能であることを報告した。そこで15年度は、コラーゲンゲル上で単層培養した臍帯上皮細胞をヌードマウスの皮膚欠損部に移植し、形態学的、免疫学的に表皮角化細胞と比較検討を行った。その結果、移植後の臍帯上皮細胞は、角化細胞同様に10層前後に重層化し、また、表皮分化型ケラチンK1/10を発現し、上層部においてトランスグルタミナーゼ、インボルクリン、ロリクリン等のcornified cell envelope associated proteinの発現を認めた。さらに、in vitroにおいては断片的にしか発現を認めなかった基底膜構成蛋白は基底細胞下に線状に発現を認め、電顕的にもhemidesmosome、lamina densa、anchoring fibrilの形成を認めた。興味深いことに、移植後の臍帯上皮細胞においては、表皮分化型ケラチンK1/10に加えて単純上皮型ケラチンK8/18及び粘膜型ケラチンK4/13を同時に発現しており、これらの発現は時間が経つにつれ減少していくことが確認された。以上の結果から、臍帯上皮細胞は生体に移植することにより、in vitroと比較して、より表皮に近い分化を誘導することが可能であることが示唆された。これらの結果は、臍帯上皮細胞を用いて表皮シートを作製し、臨床応用することが可能であることを示すものである。さらに現在、経時的な解析を進めている。
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