2005 Fiscal Year Annual Research Report
内因性精神疾患に対する薬理遺伝学を用いた治療ストラテジーの開発
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15790616
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
太刀川 弘和 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10344889)
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Keywords | ABCB1 / TCI / 治療ストラテジー / 内因性精神疾患 / 遺伝子多型 / 多変量解析 |
Research Abstract |
今年度は、最終年度として、次の研究を行った。 治療ストラテジー開発のため、気分障害患者、統合失調症患者のDNAを用い、dopamine、serotoninなどの神経伝達系を中心に既知の約30の機能的多型(SNPs)の有無を、RT-PCR法でスクリーニングした。現在全sampleの約40%の解析のみ完了しており、結果の検討、ストラテジー提案には未だ至っていない。しかし、解析の過程で、以下の結果を得た。 1.治療抵抗性統合失調症や抗精神病薬の副作用の有無がABCB1遺伝子のSNPs(C3435T、G2677A/T)と関連するかどうかを検討した結果、両SNPsともにTRS、副作用との関連は見いだせなかった。しかし抗精神病薬の最大投与量との相関は見いだした。結果は日本生物学的精神医学会で報告した。 2.Circadian rhythmの生体内機構に最も関連があるとされるclock遺伝子のSNPs(T3111C)と、気分障害、統合失調症との関連を検討した。統合失調症と対照群との間で、遺伝型では有意傾向、アレル頻度では有意差が認められ、clock遺伝子の統合失調症への関与を示唆する所見と思われた。 3.Serotonin cascadeのSNPsを調査した結果、気分障害のみ5HTTPRのlong alleleの遺伝子頻度が統合失調症群、対照群に比して有意に多かった。 4.治療反応性と内因性精神障害のプロフィールとの相関を調査した。家族・遺伝歴の有無、罹病期間の長さが治療反応性と有意に相関していた。 今後スクリーニング終了と共に、内因性各疾患の有無を応答変数、SNPsを説明変数としてlogistic regression modelを用いた多変量解析を行う。また有効薬剤、副作用出現の有無、全般改善度、TCIを応答変数とし、SNPsを説明変数とする重回帰分析を行う。得られたデータに基づき、治療ストラテジーを提案する予定である。
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Research Products
(1 results)