2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー型痴呆症における自律神経系障害の発症機序の基礎的検討
Project/Area Number |
15790619
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (40345898)
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Keywords | ストレス / グルタミン酸 / アセチルコリン / 血糖 / ACTH / 内嗅皮質 / 海馬 |
Research Abstract |
アルツハイマー型痴呆症の自律神経障害の発症機序を明らかにする目的で以下の研究を行った。 海馬はアルツハイマー型痴呆症において早期から障害される部位であるが、グルタミン酸系神経がその神経伝達の主役である。従って、海馬の自律神経支配への関わりについて詳細に明らかにすることが必要である。 昨年度の研究によって、海馬への主要なグルタミン酸神経の入力の起始部位である内嗅皮質がラットのストレス時のストレス反応においては重要な役割を果たしている可能性を示したが、本年度は以下の事柄について明らかにした。 1、グルタミン酸アゴニストであるAMPAを海馬へ投与すると血糖、ACTHがAMPAの濃度依存性に上昇し、この反応はAMPAの選択的阻害薬によって拮抗される。従って、海馬のグルタミン酸系神経は、AMPA受容体サブタイプを介して、血糖,ACTHの上昇、すなわちストレス様反応をおこしうることが示された。 2、我々は、従来、海馬のアセチルコリン受容体を介したストレス類似反応のモデルを確立してきたが、今回のAMPAによる反応はこのアセチルコリン受容体を介したストレス様反応と類似の反応であり、その相互の関係については現在検討中である。 3、インスリンの全身投与による低血糖時における海馬内の神経伝達物質の変化動態を明らかにするために、ラットの脳透析をおこない、低血糖時の海馬内のアセチルコリンの放出について検討したが、低血糖ストレスでは海馬内のアセチルコリンの有意な放出量の変化はおこらないことが明らかになった。 4、海馬へのグルタミン酸神経の主要な起始部である内嗅皮質の破壊によってストレス反応時の血糖上昇が抑制されることが明らかになった。 まとめ 内嗅皮質から海馬へ投射するのグルタミン酸神経はストレス反応に深く関与している可能性が示唆され、アルツハイマー型痴呆症の自律神経障害の原因となりうると考えられる。
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Research Products
(2 results)