2005 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン受容体のアロマテース及びステロイドによる動態制御
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15790624
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳井 章江 山口大学, 医学部, 助手 (20284854)
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Keywords | ステロイドホルモン / アロマテース-P450 / アンドロゲンレセプター / エストロゲンレセプターα / エストロゲンレセプターβ / グルココルチコイドレセプター / 17β-Estradiol(E2) / テストステロン |
Research Abstract |
アンドロゲンからエストロゲンへの合成酵素であるアロマテース-P450は、神経細胞に存在しており、脳の性分化に重要な役割を果たす。内側視索前野から分界条床核、内側扁桃体にかけての弓状領域(mPOAM)には、多くの性ステロイドが分布しているが、アロマテース-P450の発現においても、雄優位に性差があることをこれまでに報告してきた。本年度は、特にmPOAM領域に注目し、アロマテース-P450に領域特異性による性質の違いがあることを見いだしたので報告する。 本課題では、精巣摘出、副腎摘出を行った雄ラット脳内アロマテースにおける領域特異的な性ステロイドの制御について、in situ hybridization法及び免疫組織化学法を用い、胎生期、新生期及び成獣ラット脳内のmPOAMと扁桃体中心核(CAm)における卵巣由来のアロマテースmRNA及びアロマテース蛋白質発現の比較を行った。精巣摘出処理および副腎摘出処理したラットは、液性情報であるステロイドホルモン(17β-エストラジオール;2μg/rat/day、テストステロン;1mg/rat/day、ジヒドロテストステロン;1mg/rat/day)を各々6日間投与した。mPOAMにおいてこれら全ての性ステロイド投与群は、コントロール群に比べ、アロマテース-P450発現を上昇させたが、一方で、Camでは、その影響が認められなかった。mPOAMやCamにおいてアロマテース蛋白質は、発現していたが、mRNAは、mPOAMにのみ発現が見られ、Camでは、検出されなかった。つまり、生殖腺由来の脳内アロマテース-P450の上昇は、領域特異的であり、そのmRNA発現が異なることからCamにおけるアロマテース-P450は、mPOAMにおけるアロマテース-P450と異なるアイソザイムを持つ可能性が示唆された。また、mPOAMやCamには、ハンチンチン関連蛋白質1(HAP1)が分布することがわかっており、HAP1とステロイドレセプターの共存が認められた。
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