2003 Fiscal Year Annual Research Report
レドッス制御を受ける膜蛋白特性と海馬興奮系シナプス伝達への機能的修飾
Project/Area Number |
15790629
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
土井 拓 宮崎大学, 医学部, 助手 (70274793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 勇人 宮崎大学, 医学部, 助教授 (70244192)
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Keywords | キンドリング / てんかん / グルタミン酸 / レドックス |
Research Abstract |
海馬腹側部に留置したマイクロダイアリーシス(MD)プローブを通じ短時間のhigh K^+含有人工脳脊髄液(aCSF)刺激を繰り返し行うとキンドリング現象(K^+-kindling)が誘発される。海馬レドックス変動が海馬細胞外液中のグルタミン酸濃度([Glu]o)とK^+-kindlingにどのような影響を与えるのか実験を行った。 雄性Wistarラット海馬腹側部にMD用のプローブを挿入し、DTNB群には100uM DTNB含有aCSFを、DTT群には100uM DTT含有aCSFを、対照群にはaCSFを潅流した。[Glu]oをHPLC-ECDにより測定し、続いて10分間の40mM K^+含有aCSF潅流を40分間隔で行い、潅流液中の[Glu]o変動を酵素蛍光度法により測定した。行動変化をRacineの分類に基づいて評価した。 その結果、(1)[Glu]o基礎値はDTT群と対照群とで有意差はなかった。DTNB群では有意な上昇(177%)がみられた。(2)DTNB群では対照群と比較し、K^+刺激に伴い急激ではあるがピークの低い[Glu]o上昇と緩徐な基礎値回復がみられた。DTT群では、緩徐であるがピークは高い[Glu]o上昇と早急な基礎値回復を示した。(3)DTNB群ではC-4に至ったラットは存在せず、一方DTT群は、7.17回、対照群は10.17回でC-4に至り、有意にDTT群においてK^+-kindlingが促進されていた。 酸化的レドックス変動はレドックス感受性部位でdisulphydeを形成し、NMDA-R賦活に伴うCa^<++>透過性とEAATsのGlu再敢り込み能を低下させることが知られている。今回の結果はレドックス変動よるEAATsとNMDA-Rへの機能修飾に起因した現象であると考えられる。酸化的レドックス下ではK^+-kindlingの発展が抑制されることから、レドックス制御を行うことは新たなてんかん治療戦略の構築に連がる可能性があると考える。
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