2004 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス制御を受ける膜蛋白特性と海馬興奮系シナプス伝達への機能的修飾
Project/Area Number |
15790629
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
土井 拓 宮崎大学, 医学部, 助手 (70274793)
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Keywords | てんかん / グルタミン酸 / GABA / 抗酸化能 / 海馬 / トランスポーター |
Research Abstract |
てんかんの病態解釈としてグルタミン酸、GABA不均衡仮説があり、我々のこれまでの研究からグリア型グルタミン酸トランスポーターの機能低下により興奮系の増強が生じる一方で、GABA合成能の低下により抑制系の崩壊が生じ、てんかん発作が生じると考察してきた。一方、胎生期や出生早期に低酸素・虚血といった強い酸化ストレスに脳組織が暴露されると、二次性孔脳症などの脳組織の形態的傷害やてんかんの発症に繋がることが知られている。そこで酸化ストレス暴露後に成長を遂げた個体でのけいれん感受性・てんかん原性獲得などがどのような機序で生じてくるのか、1986年にRiceらが報告した新生仔低酸素虚血脳症の成熟ラット(Rice model)を用いてpentylenetetrazole(PTZ)に対するけいれん感受性、キンドリング発展、グルタミン酸・GABAトランスポーターの発現について観察した。その結果、Rice modelではPTZ投与後けいれんまでの潜時が短く、けいれんは重篤、持続時間は長く、けいれん感受性は亢進していた。しかしながらRice modelでキンドリング発展は遅延しており、海馬GLAST,GLT-1とGAT-1が増加していることからグルタミン酸及びGABAトランスポーターの発現変化はneuro-protectiveでグルタミン酸-GABA均衡が原因で本病態モデルのけいれん感受性亢進が生じている可能性は低いと考えた。低酸素・虚血負荷直後に強力なラジカルスカベンジャーを投与することで、脳組織融解やけいれん感受性亢進は観察されないことが判明しており、当モデルのけいれん感受性亢進や周産期低酸素・虚血状態の後遺症状としてしばしば見られる形態的脳組織損傷でのてんかんの合併には、グルタミン酸-GABA不均衡よりも抗酸化能減弱が病態に関与するものと考えた。
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Research Products
(6 results)