2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病における、グルタミン酸に関連する様々な遺伝子多型の包括的研究
Project/Area Number |
15790635
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 講師 (10286734)
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Keywords | 精神分裂病 / 統合失調症 / グルタミン酸 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
平成15年度は、1月末日までに137例の分裂病の患者さん、および101例の健常対照者のgenomic DNAを確保した。疾患群は当院精神神経科を受診する分裂病の患者さん、対照群は医局員および病院関係者で、分裂病に罹患していないものである。 本年度は、まず近年イタリア人分裂病患者において発症危険因子の可能性が疑われた、カイニン酸型グルタミン酸受容体GRIK3(T928G)多型のcase-control studyを行った。その結果、GRIK3(T928G)多型は分裂病と対照群間において、その遺伝子多型頻度に有意差は認められなかった(x^2=1.027,p=0.311)。またGRIK3(T928G)多型のうち、G対立遺伝子頻度は欧米人に比べ日本人で有意に低いという人種差は認められた。またNMDA型グルタミン酸受容体をリン酸化するFynの3つの遺伝子多型(-93A/G, IVS10+37T/C, Ex12+894T/G)の頻度においてもcase-control studyを行ったが、発症因子としての有意差、および発症年齢との関連性は認められなかった。 現在は、近年日本人分裂病患者において発症危険因子の可能性が疑われた、NMDA型グルタミン酸受容体GRIN1 G1001C多型、およびDAAO (d-amino acid oxydase)やPSD95(postsynaptic density 95)の遺伝子多型を解析中である。来年度はさらに症例数を増やすとともに、BPRSなどの症状評価尺度を用いた臨床評価、治療反応性なども調査し遺伝子多型との関連性を行っていく予定である。
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