2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病における、グルタミン酸に関連する様々な遺伝子多型の包括的研究
Project/Area Number |
15790635
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 講師 (10286734)
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Keywords | 精神分裂病 / 統合失調症 / グルタミン酸 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
平成16年度は、平成17年1月末日までに200例の統合失調症患者、および163例の健常対照者のgenomic DNAを確保した。疾患群は当院精神神経科を受診する統合失調症患者、対照群は医局員および病院関係者で、統合失調症に罹患していないものである。本年度は、昨年度実施したカイニン酸型グルタミン酸受容体GRIK3(T928G)多型、NMDA型グルタミン酸受容体をリン酸化するFynの3つの遺伝子多型(-93A/G,IVS10+37T/C,Ex12+894T/G)に加え、NMDA型グルタミン酸受容体GRIN1 G1001C多型、およびDAAO(d-amino acid oxydase)やPSD95(postsynaptic density 95)の遺伝子多型を解析し、case-control studyを行ったが、発症因子としての有意差、および発症年齢との関連性は認められなかった。また、上記の患者のうち、入院患者50例において入院時(急性期)と退院時(軽快期)の血中グルタミン酸濃度を測定し比較したところ、退院時のグルタミン酸濃度は入院時のそれに比べ、統計学的に有意に増加していた。また、入院時の症状評価で、幻覚や妄想が強く、病識が乏しい群については、より入院時グルタミン酸濃度が低い傾向が認められた。これは血中グルタミン酸濃度が統合失調症の治療指標として、何らかの意味を持っておる可能性が考えられた。現在グルタミン酸の合成酵素であるglutaminaseの遺伝子多型解析を進行中である。これらの結果は、教室内の学術発表会で報告した。
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