2003 Fiscal Year Annual Research Report
Leuko-araiosisの病態に関する研究―白質病変の病理所見と代謝の変化―
Project/Area Number |
15790668
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松末 英司 鳥取大学, 医学部, 助手 (30325013)
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Keywords | leuko-araiosis / 白質病変 / MRI / 組織像 / MRスペクトロスコピー |
Research Abstract |
剖検脳MRIのT2強調像において、高信号病変に対応する病理組織像との35例での対比では、T2強調像での高信号域はオリゴデンドログリアの減少、髄鞘ならびに軸索の脱落を反映しており、全例においてT2強調像での高信号域よりも、髄鞘染色(KB染色)における染色性の低下域がより広範であった。白質病変が高度である症例ほど、髄質動脈の血管周囲腔の拡大所見が目立った。subcallosal bundleは白質病変が高度な例でも保たれる傾向にあった。白質病変が広範に見られるtypeでは、白質の高度な粗鬆化を示していた。大脳皮質に関しては、volumeは白質病変の程度に関わらずMRIおよび剖検脳の割面像において保たれており、microscopicにも神経細胞の減少は明らかではなかった。プロトンMRスペクトロスコピーによる検討では、leuko-araiosis症例のうち、皮質下〜側脳室周囲白質にかけて広節に認められる型を呈する15症例と、対照例としての年令に対応した健常者8例を3テスラ超伝導MRI装置にて検討した。leukoaraiosis症例では、神経細胞の絶対数を反映するとされているNAA(N-acetyl-aspartate)が白質において有意に低下していたが、皮質のNAA関しては有意な低下は見られなかった。嫌気性解糖が進んだ状態で現れるとされるlactateのピークはいずれの領域にもみられなかった。 以上より、本年度の検討では、MRI上での高度な白質病変は、組織の粗鬆化とプロトンMRスペクトロスコピー上での代謝の低下を示す傾向が得られた。一方、大脳皮質は組織像のみならず代謝上でも保たれていた。 今後は、MRI T2強調像で見られる白質病変の組織像との対比とプロトンMRスペクトロスコピーによる代謝機能の評価を、白質病変のPattern別に、さらに検討をすすめる予定である。
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