2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790691
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
三枝 公美子 (小山 公美子) 放射線医学総合研究所, フロンティア研究センター, 研究員 (90294066)
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Keywords | マイクロアレイ / 放射線感受性 |
Research Abstract |
今年度は、X線照射後の再増殖腫瘍は無血管下で活発に増殖する放射線抵抗性細胞で有ると考え、ヒト大細胞性肺癌由来細胞:IAおよび再増殖腫瘍のモデルとしてin vitroにおいて、低酸素培養下に適応して増殖する細胞:H2を樹立し、これらの細胞をヌードマウスに移植して得たヌード腫瘍(mH2)に対して22Kカスタムオリゴアレイを用いた遺伝子発現変化の解析を行った。 IAとH2に対する放射線感受性を比較した結果、In vitroでは両者の相違は見られなかったが、In vivo(ヌード腫瘍照射後、培養系でコロニー形成法にて生残率測定)ではH2は低感受性を認めた。また、低酸素下増殖細胞(H2)移植ヌードマウス腫瘍(mH2)は、オリジナルIA細胞移植ヌードマウス腫瘍(mIA)に較べて腫瘍表面の血管に乏しく繊維組織豊富な硬い腫瘍を形成し、腫瘍中心部のネクローシスを起こしにくい特徴を示した。HE染色による形態観察においても、mIAに較べてmH2は間質細胞が多く、内部の血管の誘導が少ないことが示唆された。 さらに、培養細胞における、遺伝子発現変化をマイクロアレイ法にて解析した。発現比2倍をcut off値として解析を行った結果、細胞では発現誘導134スポット、発現抑制100スポットに変化が見られた。発現比に差のあった遺伝子のOntology分類を行った。その結果Cell communicationに関わる遺伝子群に差が認められた。ヌードマウス腫瘍の遺伝子発現解析ではANOVA解析から321遺伝子に有意(p<0.01)変化が見られこれらの遺伝子のOntology分類を行った。metabolismの違いが、ヌードマウス腫瘍(mIA、mH2)の性質の違いを反映している素因である事が示唆された。主に発現変化の見られた遺伝子には、細胞レベルではCXCL1、CXCL2発現抑制が観られ、ヌードマウス腫瘍では発現誘導または抑制の観られた遺伝子の中には、IFI27、cytokine receptorの一つであるEBI3、cytokine-like protein C17などの免疫関連遺伝子があった。
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