2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌に対するPTEN遺伝子の導入とカフェインの併用療法による相乗的抗腫瘍効果
Project/Area Number |
15790705
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
斉藤 祐二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30256383)
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Keywords | PTEN / Caffeine(カフェイン) / 大腸癌 / アポトーシス / 相乗効果 |
Research Abstract |
1,PTENやp53遺伝子の表現系の異なる大腸癌細胞株HCT116 p53(+/+)、HCT116 p53(-/-)、SW480やその正常株CCD-18Co、前立腺癌細胞株DU145、LNCaP等に対し併用療法を行いXTT cell viability assayでCI Isobologramによる相乗効果の評価を行った。HCT116 p53(+/+)(以下HCT116)、HCT116 p53(-/-)、SW480、前立腺癌細胞株DU145で相乗効果が見られ、CCD-18Co、LNCaP細胞では見られなかった。以上より、本相乗効果は細胞の野生型p53遺伝子の有無には無関係だが、野生型PTEN遺伝子を有することに関与することが示唆された。 2,併用療法によるPTEN遺伝子の導入効率に対する影響を相乗効果の得られた細胞株と効果の無かった対照株とでFACS analysisやWestern blotting法により評価した。HCT116でPTEN遺伝子の導入効率の上昇を認めたが、CCD-18Coでは有意な上昇は無かった。 3,相乗的腫瘍効果を、Hoechst33258によりアポトーシスによるものか定性評価した。HCT116やSW480では有意にアポトーシスを認めたが、CCD-18Coでは認めなかった。 4,併用療法の細胞周期への影響を、相乗効果の得られた細胞株と対照正常株で、さらにそれらの細胞株にDNA障害を誘導する放射線とカフェインの併用処置により対照とし、FACS analysisにより比較検討した。HCT116でカフェインによる効果は放射線と同様に、G2期に停止した。CCD-18CoでもG2期停止も誘導されたが有意ではなかった。以上より、野生型PTEN遺伝子を有する細胞株ではPTEN遺伝子の導入により、G2期停止が誘導されることが示唆された。
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