2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓における組織幹細胞の分離と肝再生過程解明の研究
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15790708
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長屋 昌樹 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90329300)
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Keywords | 肝前駆細胞 / 温度感応性ハイドロゲル / ラット / 組織修復 |
Research Abstract |
申請者は、温度感応性ハイドロゲルをラット肝小欠損創部に充填する手法により、欠損部に於いて速やかな組織修復を導き、かつ、肝前駆細胞誘導を可能とした。速やかな組織修復には申請者のプロトコールにて誘導された肝前駆細胞の役割が大きいことが推測され、本細胞の特性と、経時的変化を検討した。この細胞は欠損部周囲に胆管様構造を呈して出現し、造血系細胞、幼若細胞、胆管上皮細胞、肝細胞のマーカーであるc-kit、AFP、CK19、アルブミンにそれぞれ陽性で、肝前駆細胞の可能性を強く秘めている事が判明した。本細胞は損傷部の組織修復過程早期より出現し、最終的にalbumin陽性、CK19陰性細胞へと変化する特性を有する。この特性変化の過程で肝細胞へと形態変化を起こす。すなわちCK19は胆管様管腔構造から索状に形態変化するに伴い消失し、逆にalbuminは細胞の大型化に伴い発現を強める。さらには増殖型のマーカーであるPCNA、Ki67陽性で、組織修復時、増殖能力が強く組織修復の中心的役割を果たす事が判明した。本検討は通常の成熟肝細胞による肝再生とは異なり、本細胞が出現する際には成熟肝細胞による肝再生は進まないこと、肝前駆細胞の可能性を秘めた細胞が肝組織の状況に合わせ形態変化をする能力を秘めている事が判明した。また、本細胞は組織修復過程の補充的役割をとり、リモデリングに寄与する特徴を有する事が判明した。組織修復過程では、小欠損にとどめ、充填をおこなわないコントロール群は、柵状に繊維性瘢痕を残すのに比し、本手法では繊維性変化を認めず組織修復がおこなわれることが判明した。
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