2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790716
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
為佐 卓夫 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (30359905)
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Keywords | 肝細胞癌 / DNAマイクロアレイ / 術後肝内再発 / 再発予測 / supervised learning理論 |
Research Abstract |
ヒト癌のトランスクリプトームを論じる際の重要なポイントのひとつとして、各症例間に存在するヘテロジェネィティが挙げられる。これは、細胞株のトランスクリプトームとその性格を異にする大きな問題であり、特に、サンプル集団自身が保有するバイアス、すなわち、起因ウイルス、癌抑制遺伝子(p53)、および発生母地(非癌部肝)の違いなど、それぞれの背景因子の違いに応じて遺伝子発現パターンを整理する必要がある。このようなプロファイリングを行うことは、予測システムに用いる遺伝子が、各症例における様々な背景因子とどのように関わるのかを見極める上で重要なポイントとなる。従って、まず各背景因子に基づいた遺伝子発現プロファイルを『教師あり学習理論』で作成した。 平成15年度における遺伝子発現プロファイル研究として、我々は、肝硬変に発生した肝癌と非硬変肝に発生した肝癌との間に計97個の遺伝子発現異常を認め報告した(Oncogene 2003)。また、p53異常を伴う肝癌に悪性度の高さを示唆する遺伝子群の異常が認められた(FEBS letters,2003)。さらに感染ウイルスタイプ別の遺伝子発現プロファイルを報告した(Int J Oncol,2004)。 これらのプロファイリング作業と平行して、7070遺伝子を搭載したDNAマイクロアレイ解析を用いて、我々は肝癌手術後の早期肝内再発予測システムを12遺伝子で構築した。このシステムは新たに解析した27症例のうち25例(93%)において正しく肝内再発の有無を予測できたが(Lancet,2003)、100%の正診率は得られなかった。また、このシステムに用いられた遺伝子は上司の背景因子に関わる遺伝子群とは、まったく重複はなかった。 現在、12600遺伝子を搭載したhuU95A DNA Chips^【○!R】(Affymetrix, Santa Clara, CA)にて肝癌76サンプルおよび非癌部肝16サンプルの遺伝子発現解析が進行中であり、このlarge arrayのデータを基に、複数の再発予測システムの構築を検討している。
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[Publications] Iizuka N, Tamesa T, et al.: "Oligonucleotide microarray for prediction of early intrahepatic recurrence of hepatocellular carcinoma after curative resection."Lancet. 361. 923-929 (2003)
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[Publications] Iizuka N, Tamesa T, et al.: "Differential gene expression in distinct virologic types of hepatocellular carcinoma : association with liver cirrhosis."Oncogene. 22. 3007-3014 (2003)
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[Publications] Okada T, Iizuka N, Tamesa T, et al.: FEBS Letters. 555. 583-590 (2003)
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[Publications] Iizuka N, Tamesa T, et al.: "Molecular signature in three types of hepatocellular carcinoma with different viral origin by oligonucleotide microarray."International Journal of Oncology. 24. 565-574 (2004)